裏切りのサーカスのレビュー・感想・評価
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どの年齢層が、どんな人が、。
映画の雰囲気に流されるまま、最後まで何とかたどり着いた。感じ
80%が抽象的な表現で、残りの20%も何とか理解できる程度。だから途中から、内容を理解しようとするんじゃなくて、役者の演技を観ることにした。それだけの評価です。内容はもっと自分が熟成しないと面白みがわからないのではと思い、配点しませんでした。
意味不明。。。
意味わかんなかった・・・
本でも映画でもここまでわかんないの初めてで、でも旦那さんは「面白かった」て言ってるし、自分、なんか頭の病気なんじゃないかと思えてきて泣きそう( ; ; )
そのうちもう一回見て理解しよう、と思う気力すらないわ。。。
全てが完璧。ずっとずっと観ていたい。 ゲイリーの真骨頂、後半版だね...
全てが完璧。ずっとずっと観ていたい。
ゲイリーの真骨頂、後半版だね。
他のキャラも良すぎだし、ダメなシーンがひとつもない。すごい。
原作読むぞ!
面白い。しかし・・・。
ゲイリー・オールドマン、コリン・ファースをはじめとして、役者だけで引きつけられてしまう。また、展開の上での伏線など、細部にわたって詰められており、よくできている。願わくば、邦題だけはどうにかしてほしかった。Tinker Tailor Soldier Spyという原題のほうが遥かにいいとおもうのだが。
勝者のいない闘い
原作者ジョン・ル・カレの文体と、トーマス・アルフレッドソンの映像はよく似ている。
ル・カレは本筋とあまり関係のないエピソードでも詳細に執拗に描写する。溢れるばかりの情報に本筋が埋没していく。(だから難解だといわれるのだと思う。)
アルフレッドソンの映像もワンカットに収められた情報量が異常に多い。俳優の台詞や動きだけではなく、壁にかかった絵など小道具にまで深い意味が込められている。始まりからラストまでみっちりと詰った映像は、まさにル・カレ節だと思った。
全体的に硬く冷たい石のような映像だったが、突如として熱くなるシーンがある。
トム・ハーディが演じるリッキー・ターのパートが熱い。
敵方の女スパイと恋に落ちるター。
「恋に落ちてる場合じゃないだろう。スパイの任務に集中しろよ。
人を欺き欺かれてきた百戦錬磨の工作員が、いとも簡単に一目惚れするなよ。」
そんなツッコミを入れたくなる程の、揺るぎないターのパッション。
職務から逸脱した激情。嘘にまみれた男が見せる、真実の愛が切ない。
マーク・ストロングが演じるジム・プリトーのパートも眩しい。
愛する人が裏切り者だったプリトー。
「裏切り者が誰か最初から気付いてたでしょ。
気付いてたんなら、組織のためには告発しなきゃダメでしょ。」
そんなツッコミを入れたくなる程の、プリトーの一途な愛。
組織を守るというスパイの大義よりも、彼は報われない愛を選ぶ。
男たちがスパイ本来の大義・職務・本分から逸脱したとき、この映画は信じられない程の輝きを放つ。
そしてこの物語の本質は正にそこにある。
国と国との威信をかけた闘いに主眼を置いたのではなく、そこからこぼれた個人の激情・真情・矜持、個人の尊厳に主眼を置いたからこそ、深い感動を喚ぶのだ。
スマイリーの苦悩もそれが核となっている。
敵の黒幕カーラの狡猾な仕掛けによって、スマイリーの妻アンは利用され汚されてしまう。心の奥底の一番繊細な部分を踏み躙られてしまう。
非情な仕掛けだが、カーラとってはスパイの作戦・職務としてやったまでのこと。
スマイリーも自分の組織を守るという大義のためなら、相手の一番弱い部分を攻めるだろう。個人の尊厳を踏み躙るだろう。彼自身がそれを知っているからこそ、苦悩するのだ。
この物語には勝者がいない。誰もが何かに傷つき愛する者を失っている。
映画のラストに流れる曲「La Mer」の歌詞が切ない。
「汚れなき美しき海よ
どうか愛を歌って
私に生きる力を与えておくれ」
スマイリーは「生きる力を与えてくれる何か」を守るために闘っているのかもしれない。
<追記>
原作ファンの個人的な好みを言えば、トム・ハーディにはジェリー・ウェスタビー役をやって欲しかった。彼の「スクールボーイ閣下」が観たかった…。
スパイの世界
冷戦下、イギリス諜報部の二重スパイ探しを描いた作品。
あぶらののった、魅力的な人ばっかり出てます。
ゲイリーオールドマンはすっかりおじいちゃんだけど。
コリンファースは好きだし、
ベネディクト・カンバーバッチがいい!
ナイスボイス!!いい声してます。
トム・ハーディのブリティッシュアクセントもしびれるし・・・
とまー、
男優ばかりに気をとられそうですが、
お話自体もスリリングで、
誰がスパイなのかと
探りながら、
互いのだまし合いに手に汗握る展開でした。
ちょっと難しかったけど・・・。
スパイって大変ですね。
だまし合いだし、提供する情報も小出しにしたり、
平気でうそつくし、
人を疑ってかかるのが仕事って
頭がおかしくなりそうです。
でも、そんな中でも、妻が出てったことに悩んだり
恋人を失って涙したり、
人間としての痛みもあって。
うーん、大変。
一番印象的なのは、二重スパイが射殺される場面。
やっぱり、近しい人ほど、
かわいさ余って憎さ100倍。
そういう感情は、どこの世界でも一緒かな?
現れ方は違うかもしれないけど。
知らない世界を描いて
ぐっと見るものを惹きつけつつ、
普遍的な部分で共感を生み、
深い余韻を残す見事な映画です。
スパイ映画の金字塔
いやー!難しいです💥
見る前から『リピート必至の作品』と聞いていましたがまさにその通りでした💦
とゆうか自分はこうゆう作品には滅法弱いです💦
登場人物・時系列がワケわからなくなります💥
さて、スパイ映画と言われればめぼしいのは【ミッション:インポッシブル】【ボーン】ぐらいしか見たことがありません💥
【007シリーズ】は見たことがありません💦 今後ダニエル・クレイグだけでも見てみます。
今作は↑の3作と違って派手なアクションシーンは無し。
などと言っても話に食い付こうと必死で見てるのであきません。 頭がフル回転状態です💦
ただ登場人物の立場等がわからなくなるとラストで感情移入が出来ません💦
ゲイリー・オールドマンは自分には【ダークナイト】のゴードン警部にしか見えませんでした💥
逆にトム・ハーディは全然ベインに見えませんでした💦
自分的に気になったのがサーカスの会議室?の防音壁。
実際はあんな柄なのか? 気になります💦
あの部屋のシーンは緊張感がでます💥
後、余談ですがイギリスにも『大蔵省』ってあるんですね💦 ビックリしました💥
続編も決まっているみたいですね。
なのでその前にもう一度見たいと思います。
もちろん頭を強くしてから見ますのでご安心を(笑)
裏切ったのは誰?
知らない登場人物や話が唐突に出て
『あれ?この人もう出てたかな』と思ったら
それからそれに関するエピソードが展開するというような構成で
見終わってみると
『あれももしかしたら伏線だったのかも知れない』と
じっくり初めから見直したくなるような仕掛けがされた映画でした。
原作未読で見たのですが、楽しめます。
これから原作を読んでみようという気になりました。
一体誰が裏切ったのか、というのが気になって、色んな人が裏切り者に見えて
ドキドキします。
テイラーかな、それともティンカー?それともまさかのスマイリー?それともまさかまさかのピーター?
アクションはありません。
冷静に状況を見極めるスパイが楽しめる、静かな良い映画でした。
サーカスに潜むもぐらは鋳掛け屋?仕立屋?兵隊?貧乏人?
いやー、難しかった!ここまで難しい映画は久し振り。
老スパイが英国諜報部“サーカス”に潜り込んだ二重スパイ“もぐら”を突き止めるストーリーなんだけど…
それぞれコードネームを持ち、誰と誰が繋がって…と、登場人物の相関関係が複雑。
現在の“もぐら”探しが過去のブダペスト事件と関与しており、交錯しながら進み…と、構成も複雑。
張られた伏線どころか登場人物たちも細かく洞察しなくてはいけない。
DVDで難しい映画を見る時、日本語吹き替えにして字幕も出して、万全の二重体制で見るんだけど、それでも難しい。
でも、上質な映画である事には間違いない。
複雑だが知的なストーリー、トーマス・アルフレッドソンの抑えた演出、冷戦時代の荒涼とした空気を捉えた映像美、ゲーリー・オールドマンら英国名優の静かな名演…これを味わえただけでも見た価値はあった。難しかったけど。
ジャンル的にはスパイ映画。
スパイ映画と言うとジェー○ズ・ボ○ド やイー○ン・ハ○トのような派手なアクション映画が真っ先に思い浮かぶ。
いつもそれらの映画を見ながら思っていた事だが、本当のスパイの世界はそんな派手で格好いい世界ではないだろう。
人知れず暗躍し、裏切られ殺され、そしていとも簡単に切り捨てられる。
信じられる者も信じれるものも無く、相手の腹を探り合う、頭脳戦と心理戦。
仲間はもちろん家族すら欺き、愛さえ偽り利用する。
孤独と孤立だけが常に身に寄り添う。
そんなスパイのリアルの世界を、まるで第三者の視点からのように淡々と冷徹に描き、虚しさを誘う。
…と、書いていたらまたこの映画に挑戦したくなって来た。
もう一度見よう。
静かなるスパイ
いわゆる「スパイもの」ではあるが、銃撃戦などの激しいアクションシーンは一切ない。それなのにこの映画はどんなシーンにも恐るべき緊張感がある。
この映画の雰囲気に大きく貢献しているのは俳優達の名演だろう。まずはゲイリー・オールドマン。普段みたいなキ○ガイの役とは正反対の、滅多なことでは感情を表に出さない、最高に渋い老スパイを演じている。口を開くこともさほど多くないのに、一見してやり手のスパイであることが誰にでも分かる。他とは一線を画す圧倒的な存在感だ。サーカスの幹部を演じるメンバー達も素晴らしい。それぞれが自分の持ち味を出し、誰一人として忘れられない登場人物に仕上がっている。そして彼らの部下であるスパイ達。その多くが葛藤を持ち合わせていて、ある意味で最も共感できる役だろう。
「スパイもの」だから脚本の出来は秀逸だ。「もぐら」を見つけ出すまでの過程を過去と現在を交差させながらドラマチックに仕上げている。ただスタイリッシュさを求め、極力台詞を廃し、多くを俳優の表情に頼っているせいでストーリーに整合性がついていない箇所もある。
しかしそんな欠点には目をつぶってでもこの映画を見る価値はある。冷戦時代の暗い影が忍び寄るスパイの情報戦は見物だ。是非とも原作も読んでみたい。
(2012年5月27日鑑賞)
本当の腐ったリンゴは別にいる!
ファナティックなまでの映像美。どこを切っても素晴らしく絵になる。
そしてあまりにも豪華で渋い俳優陣。
しかし、物語は無駄に難解、時系列も複雑で、登場人物も多くストレスが溜まる。その割に犯人探しは割と単調で、これで、二度見させようってのはどうなの?そもそも、なーんで今更、冷戦時代のスパイ映画(苦笑)--などと思っていたのだけど・・・
この映画のモデルとなった、実在の大物二重スパイがいると聞き、ネットでその写真(正しくは、切手の肖像画)をみて、思わず声をあげてしまった。
「アッ!!! この男は・・・!!!」
そう、この男こそ、真の腐ったリンゴだった。
うーーーーん!!! これは分からないだろう、、、いったい何人がこのプロットを見ぬけたのかなあ?
もう少し分かりやすいヒントを映画の中で提示してくれないと・・・。これが分からないと、この映画の価値は半減しちゃうんじゃないの?
逆に、分かると俄然評価が上がる。うんうん、確かにもう一度見たいぞ。そうか、やはりコントロールの読みは間違ってなかったんだ。そういや、あのセリフもあの言動も腑に落ちる。それであのラストシーンか。
封切当初、英国人から「この映画は英国人以外には分からないのではないか」と言われていたらしいが、その意味がようやく理解できた。しかし、分からないなら分からないで、それでいい、というスタンスなんだろうか。いや~~、恐ろしい映画です(笑)
静かで渋い作品でした
軍拡競争の様相を呈した東西冷戦さなかの、情報局最高幹部の二重スパイ疑惑。
プロ同士の攻防は緊張の中で、不要な熱を持つことなく静かに展開、渋い作品でした。
フィクサーの名前も取り沙汰されるし少々混乱しますが、個性的な渋い顔が並び、人物を見誤る事はなかったです。乾いた世界を生きる彼らの私的な感情にハッとさせられます。
情報局のパーティーはシュールな歌にスパイ達の微妙な笑顔、見ようによってはとてもブラックな状況で印象的でした。
温和そうでいて老獪なスパイ・スマイリーを演じたゲイリー・オールドマンはお見事でした。
ピーター・ギラム青年を演じたベネディクト・カンバーバッチも、若々しくて良かったです。
みんな、憐れな道化。
『ぼくのエリ 200歳の少女』で注目されたT・アルフレッドソン監督の最新作。
正直、頭が疲れている時にはオススメできない映画かな……。
この物語の構造を一度観て理解できた人はかなりの強者だろう。
チェッカー模様のように交錯する複雑な人間関係も去ることながら、
くるくると入れ替わる時系列、
登場人物らの表情の微妙なニュアンス、
台詞に含まれる仄めかしを敏感に読み取り、
挙げ句は小道具や衣装にまで注意を払わなければ、
物語を完全に理解する事は難しい。
そう偉そうに語る僕自身、未だにピンと来てない点がワラワラと(爆)。
僕は時すでに遅しだったが、未見の方はパンフを先に買い、
人物相関図だけでも読んでおく事をオススメ。
だが映像・演技ともに非常に質が高い映画である事は十分理解できる。
G・オールドマンを筆頭に、出演陣はみな抑制の効いた見事な演技。
物語のテンポも、これだけ複雑な構成でありながら、精密機械さながらに制御されている。
あと近日公開の『ダークナイト・ライジング』の前に
オールドマンとT・ハーディの共演を観られるのも良い(笑)。
(ハーディは『お前誰だよッ!』てくらいの豹変ぶりだけど)
それに……この物語を観た後に残ったのは、
ある種の物悲しさだった。
英国諜報部“サーカス”に潜むソ連の二重スパイ(もぐら)は誰か——
その真相から見えてくるのは、彼ら諜報部員たちが抱える、惨めなほどに悲しい心。
友情も、愛情も、全ては相手を欺く為のただの道具。
そんな非情な活動を長く続ける内、
敵と味方の境界線も、虚と実の境界線も消えて無くなり、
自分への忠義が国への忠義に取って代わり、
遂には自分自身がただの“紛い物”と化してしまう。
みんな、憐れな道化。
泣きたくなるほどに滑稽な道化。
人間、生き残る為には敵を潰さねばならない。
そして、敵を潰すには非情にならねばならない。
だが、心の底まで一点の滲みも無いほどに非情になってしまったら、
その存在は果たして“人間”と呼べるのだろうか?
映画の最後で描かれた裏切り者の末路。
彼が最後に流した赤い涙に、じわりと目頭が熱くなった。
あんな形であれ、彼に涙を流させた作り手の優しさに。
この映画に興味を持つまで知らなかったが、
原作者ジョン・ル・カレは実際に英国諜報部MI-6に所属してたとか。
……彼が辞めた理由も少しは理解できる気がする。
<2012/7/7鑑賞>
ダブルクロス
いやぁ、複雑ですね。複雑。
スパイスリラーてジャンルなんですか?頭フル回転で観賞しましたよ。
観賞前に劇場で貰った人物相関図読み込まないと全くのお手上げだったと思います。
最近も原作本買ってボチボチ読み始めてたんですが、ペース上がんなくてw
これじゃあ、いつ観に行けるか分かんないってんで原作予習は諦めて劇場に向かった訳です。
んー、すっごい地味ですよね?全く以って華美な映画じゃないしそんな世界じゃない。
けども、ま実際の諜報合戦てのはこんな味気ないものなんでしょうけどね。
スパイが目立ってどうすんのよ、ていう。007みたいにアクロバティックな技能求められる訳ないでしょうしね実際問題。
ゲイリー・オールドマン扮する諜報機関を解雇された男が、ひたすら二重スパイの正体を追求していく。謎を明らかにしていく、ていうお話。
これが淡々としつつも混線の極みを見せるんですね。
二重スパイ容疑の候補は4人。
ティンカー?テイラー?ソルジャー?プアマン?
真実はいつも一つ!的な犯人探しで済めばいいんだけども、これがもう真実が一つ明らかになる毎に「あれ?え?じゃ真相は?」ていう。
トリッキーですよぉ本当に。ストーリー追い掛けるので精一杯でしたし。
そんで、どっと疲れましたw観る人選びますわ、これw
んで、観ててちょっと気になったことがあってですね。
二重スパイってダブルクロスとも云いますよね?
ダブルクロスって、ほら、鉄道の両渡り線?分岐器の意味もあるじゃないですか。
映画で正に、その分岐器の画が出てきて「あ、この演出凄い」てなって。
つまりはそういう細かい伏線がテンコ盛りなんですよ。そういうの好きな人には堪らない仕様ですよ。
物語の緻密さを楽しみたい方にはかなりオススメです。
ただ邦題が・・・。
俳優陣の顔が皆、素晴らしい。個人的にゲイリー・オールドマンが主演男優賞かも。音楽、衣装、美術も細部まで単なる時代感に留まらない。これがリアルなスパイ映画なのでしょう。ただ邦題が…。公式HPで予習をお忘れなく。★4.0 http://coco.to/4034
見応えアリ!
予めレビューを拝読し、公式サイトで相関図をアタマに叩き込み鑑賞
久々に見応えのある良い作品だ。無駄なシーンなど無い、一瞬たりとも目が離せない、いったい誰が『もぐら』なのか!?まったく読めない展開
登場人物、特にサーカスと呼ばれる諜報部員の4人は名前と暗号の二通りの呼び方があるので、やはり顔と名前くらいは予習していく必要があります。
全体に落ち着いた色彩だからこそ赤、青、黄の色が印象に残る。メガネフレームの色の違いで現在と過去を区別してもいる。
ゲイリー・オールドマン演じるスマイリーが考えるシーン、シグナルが青から赤に変わり、レールが切り替わるカット、これぞ映画が走り出す瞬間!
そこから大団円へ向かう。『もぐら』がわかった後も“なるほど”と納得の展開だった。他のエンタメ系のスパイ映画も楽しいが、本作のような地に足が着いた大人のスパイ映画もかなりのものです。難しい映画なので、誰にでもという訳にはいきませんか、最近の映画は噛み応えがないなぁと感じている方に、ぜひ映画館で観ることをオススメします。予習を忘れずに。
無常感が凄まじい
登場人物の顔を覚えるのがとても苦手なので、誰が誰だか分からないままで、時系列も勝手に勘違いしてしまい薄ぼんやりとしか理解できなかったのだが、それでも結末に流れる音楽と映像の無常感が凄まじくて鳥肌が立った。
美術や映像の具合が大変すばらしく1974年に撮影されたかのように錯覚するほどだった。また、全体に大変な高級感があり、格安チケットで見たのが申し訳ない気分になった。
あんまり理解できなくてもスクリーンで見てなんだか得した気分になる映画だった。ぜひもう一度きちんと理解しながら、なんだったらガイドブック片手に見てみたい。
難解な「スパイ映画」と見せかけて、実は「男」と「男」の情念の映画
1970年代初頭。イギリスの諜報機関「サーカス」の中軸に潜むソ連の二重スパイ「もぐら」をあぶり出す、それが作戦失敗の責任を取らされて引退した元諜報部員、ジョージ・スマイリー(ゲーリー・オールドマン)に課せられた任務だった。
この映画には、ほぼ同時代のショーン・コネリーの演じた、世界一有名な諜報部員を主人公にしたそれとは全く正反対に、プレーボーイ・スパイも、派手なアクションも、ない。ただあるのは、ひとのこころの裏側に潜む情念。
東西対立が明確に、歴然と存在した時代背景を考えれば、己の理念と理想を貫くため、二重スパイに堕ちていった、というのも判らなくはない、結局のところ、それらを阻むのは、彼らの間にふつふつと沸き起こる「男」同志の愛情、情念だった。
「J・エドガー」を観てもわかるけれど、ある種、緊張感が常に持続し、ひと時も休むことを許されていない組織の中では、同性同志の愛情が生まれやすいのか、どうか。異性よりも心を許しやすいのかもしれない。主人公の老いたスマイリーにはそういう感情はないけれど、妻との関係は冷え切っており、彼女の彼の同僚との不倫関係を知っているため、人生に疲れきっている。
印象的な場面は、直接的な描写を避けて、セリフもなく、音楽と、各々の表情だけで、それぞれの感情を淡々と表現しているのが、素晴らしい。特に末端の工作員(トム・ハーディ)が、ロシア女性と人知れず出会う場面での、コンパクト、鏡の使い方は非常にエロティックだ。
ラスト、二重スパイが発覚し、ただ死を待つ男と、その愛の標的になり、かつ彼に裏切られて死の淵まで追い詰められた男が、対峙する。互いの情念が複雑に絡み合うこの場面は、フリオ・イグレシアスの「La Mer」が伴奏にながれて、これでもかというぐらい、切ない。
冒頭のブタペストの街中、英国諜報員が銃撃される場面、諜報機関の幹部が政府高官と会う場面、音の使い方が効果的。スマイリーが推理を働かせて、二重スパイである「もぐら」の正体を導き出すのを、彼のアジト近くにある鉄道操車場の鉄路ポイントが切り替わるのとダブらせている場面、「もぐら」誘き出して待ち伏せする場面でのサスペンスの盛り上げ方は、古典的だけれども、緊張感は充分に感じられる。
もともと原作が難解だし、それをもとにしたこの映画も決して解りやすい作品ではない。現在進行形と過去進行形が入り組んでいて、現在流行の時系列を無視した映画的リズムとなっていることが、話の筋の理解を難しくしている。
それでもこの映画に魅せられるのは、雲が垂れ込めたロンドンを、スマイリーらを乗せて疾走する「シトロエンDS」と、ポール・スミスが衣装デザインを担当したスーツケースを着た諜報員たちと、スクリーンに映し出される色調(撮影はホイテ・ヴァン・テホイマ、クリスチャン・ベイル主演「ファイター」の撮影監督でもある)が、1970年代初めを見事に再現しているからかもしれない。
ネットで顔と名前を予習してから観に行くことを薦める
スマイリーのゲイリー・オールドマンがいい。
最初、金縁眼鏡で登場し、上司のコントロールとともにサーカスを追われるように去る。無口で冴えない印象を受ける。
やがて政府高官レイコンから極秘に特命を受け、二重スパイ〈もぐら〉の捜査に乗り出すスマイリーがまずやったのはメガネの新調だ。太い黒縁の眼鏡の奥から見つめる目は意志の強さを感じさせる。抑えた静かな物言いも、言葉は明確で妥協を許さない。
現在と回顧シーンの区別も、眼鏡のフレームの違いに注意すれば区別がつく。
徐々に〈もぐら〉を追い詰めていく過程が緻密で張り詰めたものがあり面白いが、人物相関が頭の中で組み上げられないと、かなり難解なストーリーだ。
たぶん、もう一度観たくなるだろう。
話の組み立て自体は丁寧に段階を踏んでいて、「ぼくのエリ 200歳の少女」のトーマス・アルフレッドソン監督の演出により一段ずつ階段を昇るように謎が紐解かれていく。それでも、登場人物の把握に追われてしまって話に着いていけなくなることがあるのだ。
ストーリーに没頭できるよう、事前に登場人物の名前と顔をさらっておくといいだろう。観終わってわかるが、どの人物も重要だ。それぞれにいい役者を配している。
翻訳(字幕)も難しいところだろうが、もう少し解釈しやすくする工夫がほしいところだ。たぶん、観るのが2回目だったら今のままでいいのだろう。きっと説明過多でくどくなるに違いない。字幕をつける作業は単なる翻訳ではないだけに、今作のように複雑なストーリーでは、そのさじ加減が大変だと思う。
徒労感のある内容に対し、どこかほのぼのとしたエンディングは、気持ちよく劇場をあとにすることができる。
全102件中、81~100件目を表示