劇場公開日 2012年3月24日

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「本作で登場するトロールは、CGバレバレの映像でした。」トロール・ハンター 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0本作で登場するトロールは、CGバレバレの映像でした。

2012年3月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 最近では低予算の『パラノーマル・アクティヴリティー』の大ヒットにより、限りなくドキュメンタリーに近いフィクション作品がボツボツ登場してきています。数年前に公開されたロシアの宇宙船事故を描いた『アルマズ・プロジェクト』では徹底的にフィクションであることを隠蔽しました。逆にアラスカの宇宙人による住民大量拉致を扱った『フォース・カインド』では、フィクションを標榜しつつ、どう見てもフィクションに見えない実写映像を織り込み、宇宙人によるアブダクションの可能性について警告を発することに成功したと思います。

 いずれにしても模擬ドキュメンタリーでは、いかに実際に起こったことであるのか錯覚させるのがキモだと思います。観客は、もしかしてホントの話なのかもと戦慄させられるところに、心地よい騙される感覚を楽しんでいるのだと思うのです。

 ところが本作で登場するトロールは、CGバレバレの映像でした。撮影に当たる学生たちは、いかにも素人ぽいいい味出しているし、寡黙なトロールハンターのハンスも、存在感たっぷりで、トロールが登場するまでは、心地よく騙されるレベルのものでした。トロールが登場してからは、懐かしの『ウルトラQ』を見ているかのようで、一気に興ざめしました。
 それと取材拒否していたハンスが、急に取材に協力的になる心境の変化も、あまり描けていません。今までのトロールの扱い方も台詞で語られる事が多いのです。もっと後半のネタバレの展開では、ハンスの心境の変化を、過去の起こった映像で伏線を張りながら、多面的に描き込んで欲しかったですね。

流山の小地蔵