劇場公開日 2012年3月31日

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「サソリとカエル、箸と爪楊枝」ドライヴ 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5サソリとカエル、箸と爪楊枝

2021年10月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

単純

興奮

知的

巧みな車の運転技術から、昼はカースタント、夜は強盗の運び屋として車を走らせる生活をするドライバー。
彼は自宅アパートの隣人アイリーンに恋をする。
しかし、服役中だった彼女の夫が無事に出所して彼女の元に戻ってきた。
前と同じ関係に戻ったかに思われたが、夫スタンダードは服役中につくった借金を返すために、ドライバーに助けを求める。
彼女と彼女の家族のためと行ったその強盗の運びによって、彼の生活は次第に歯車を狂わせていき…

寡黙なドライバーの恋と殺人。
「強盗を5分は待つが、5分を超えたら待っているとは思わない」「銃は持たず運転だけ」という明確なルールのもと、正確に淡々と仕事をこなすドライバー。
しかし、恋をして私情を挟んでしまった瞬間、彼の中での秩序は崩れる。
いつもは夜間なのに昼間という点など、とにかくいつもと同じようでかなりイレギュラーな仕事だったのかもしれない。
ルール厳守の寡黙な運び屋の割にはややプロ意識低くないか?
前半の情熱に後半の狂気と、非常にエキサイティングで魅力的。
音楽の使い方や色彩感覚など丁寧な出来の作品ではあるけれど、この車にはイマイチ乗り切れなかった。
カーアクションや復讐劇など単体ではカッコいいけれど、(仕方なかったとはいえ)想い人を悲しませるような男をカッコいいとは呼びづらい。
復讐劇もそれでいいのか?というような中途半端なやり方で物足りなさが残る。

結局自分の性には逆らえないという、サソリとカエルの寓話。
住む世界が違うと、なんとなく分かれてしまう2人の結末は良かった。
今回もライアン・ゴズリングの新たな顔を見た。
まん丸の目に優しげな顔。
しかし凶暴性が露わになれば、優しそうで無口なイケメンほど怖いものはない。
アイリーン役のキャリー・マリガン。
欧米人の顔覚えられない症候群の自分にとって、どうしても『プロミシング・ヤング・ウーマン』のキャシーと同一人物とは思えず。すごいね!流石。

唐揚げ