劇場公開日 2012年2月18日

  • 予告編を見る

「大切な人の思い出が消えるという寂しさ」ものすごくうるさくて、ありえないほど近い きりんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0大切な人の思い出が消えるという寂しさ

2022年4月14日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

受けた衝撃が大きくて、きょうまで何年もレビューが出来ずにいた映画です。

ワールドトレードセンター(WTC)は、あの真下でバスに乗ったことがあるのです。
だからあの日のニュース映像はショックが大きくて、頭がぐわんぐわんした。
体がガタガタ震えた。

2001年9月11日・・
3000人が亡くなって、3000の家族が遺族になり、あのビルの惨状は見た者すべての心の傷になったでしょう、
ましてやニューヨーカーや、その家族ならば。

・・・・・・・・・・・

大好きなパパの思い出の、漸減とたたかう男の子の話だ。
“時間とともに薄れる記憶”・・それに一分(いちぶ)たりとも負けんとする男の子のいじましいたたかいなのだ。

「人は二度死ぬ」とよく言われる ―
①本人の死。そして
②その人を知る人たちの記憶の中からその人がいなくなるという二度目の死。

息子オスカーはADHDなのかもしれない。
しかし時間にあらがうこの子の姿を誰が責められようか。あの子の一途さに、人は求めていた真実を見、周囲がその場に一緒に立ち尽くし、そして足元から彼の気持ちを共有・共感して心が揺すぶられるのだ。

劇中たくさんの人に会いに行ったオスカー。
たくさんのエピソードに出会うストーリーなのだけれど、どれもが「9.11」に直接重なるものでなかったとしても、家族しかり、知人しかり、誰しもがその人生に抱えてしまった「9.11」の、マンハッタンの同じ住民なのだ。

・・・・・・・・・・・・

ビルから・転落する・小さな人影・を
(時間を戻して) 、ペプサート(紙人形)で持ち上げるカットに息が止まる。

You Tubeで見ることができる。
原作は「9.11文学」の金字塔との評。

・・・・・・・・・・・・

🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸

ハナミズキのお花は、お好きですか?
一青窈(ひととよう)という日本で活躍する台湾出身の女性歌手が、
「ハナミズキ」という歌を歌いました。

日本語が下手なので、だからこんなヘンテコな歌詞を作ったのかなーと最初思ってたんですよね、
違ったんですよ ―
「あの日NYにいる友人に必死で、つながらない安否の電話をしながら作った歌」なのだと、あとから知って、僕は驚きでもう嗚咽が抑えられなかった。
失恋とか友達の恋愛を応援するラブ・ソングの形にしてあるけれど。

あの歌詞は、
そのlyricsとVerseのひとつひとつが、
“WTCの業火に燃える非常階段を、
ひとりおぶっては地上に降ろし、
ひとりおぶっては地上に降ろし、
そしてもう一度灼熱の階上へと戻っていく殉職消防隊員たちの様子”なのでした。
“崩れ落ちるビルを 天に押し戻したい”祈りの叫びなのでした。

お墓に水をかけてあげたい。

・・・・・・・・・・・・

いま僕は名古屋の高速道路のパーキングにいるんですが、静かに風に揺れてて薄いピンクのハナミズキが咲いていたので
この歌を思い出して、
20年前を思い出して、
この映画への想いをようやくやっと書いてみました。

🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸

きりん
りかさんのコメント
2023年10月10日

こんばんは♪、
今本作のレビューを一つ一つ拝読させていただいております。
やはり、きりんさんのように、ニューヨークを知っている方の衝撃も大変大きいものなのだとわかりました。そして、ニューヨークに住んでいる方たちも。

りか
りかさんのコメント
2023年10月9日

おはようございます😃
共感コメントしていただきましてありがとうございました😊
涼しいなと呑気に構えていたら、
夜は寒いぐらいで、慌てて衣替え真っ最中です。
きりんさん、いつもお優しいですね。
体調等、崩されませんように🌸

りか
Gustavさんのコメント
2023年9月13日

きりんさんへ、
ダルドリー監督がこの原作に惚れ込んで映画化していることが素晴らしいと思いました。レビューとしては、もっと語りたいのですが、この映画の良さを全て列挙する文章力が無いので曖昧な表現になってしまいました。コメントありがとうございます。

Gustav
kossyさんのコメント
2022年4月14日

「ハナミズキ」の歌詞の件、まったく知りませんでした!
元は北米原産かぁ・・・桜の返礼・・・なるほど・・・結構深い。

kossy
きりんさんのコメント
2022年4月14日

このDVDのパッケージが「ホーム・アローン」に似ていたので食指が伸びなかったのです。
まさかこういう内容とは。

きりん