劇場公開日 2012年11月3日

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北のカナリアたちのレビュー・感想・評価

全59件中、41~59件目を表示

4.0阪本節全開の映画で、全体的にはよかったのですが、今一つ乗れなかった。

2013年3月11日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

阪本監督が好きなので、見に行きました。

いつものことだけれど、阪本監督はスターさんの扱いがうまい。

映画の最初に、しかも登場順で、役者さんの名前が出るのは阪本監督の作品らしい。

オールスターの映画でも、いい役は一部の人で、他の人は死んでしまうか、素人の子供のサッカーみたいに、ボールのところに集まるように進行していくものが多い。

でも阪本監督の映画では、ちゃんと一人一人見せ場が入っていて、死んでいる人はいないし、それでいてバラバラにならず、ちゃんとまとまっている。

本作もそんな感じの阪本節全開の映画でした。

ただ、残念ながら今回は、誰のところにいっていいのかわからなかった。

本来は吉永さんのところにいくべきなのだろうけど、正直、いつもいい人の吉永さんはあまり好きではなく、感情移入できなかった。

他の人も、いい役ではあるのだけれども、ちょっと入れない感じ。

もしかしたら、カメラの木村大作さんがポイントゲッターなのかもしれないけど、職人技的な感じで、派手にポイントを稼いでいる印象はなかった。

個人的にはいい映画だと思うし、感動したのだけれども、今一つ乗れなかった。

吉永さんのファンの人が見るのが、一番入りやすいと思う。

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Push6700

3.0配役に救われてると思うよ

2012年12月10日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

難しい

泣ける所もあるが、それは内容よりも配役の方々の力があった
ように思う。
森山未來や松田龍平、満島ひかりなどの演技力で、ついつい
涙が伝う場面は数回ありましたが、ストーリーで泣けた訳では
なかったなぁ。

まぁ、それほどストーリーが悪い訳ではありませんが。

吉永さんも素敵でしたが、若い頃の吉永さん役は、正直違う方に
しても良いと思う。
多少顔が似ていなくても、さすがに往年のサユリスト達も、みんな
妥協してくれるでしょう?(笑)

北海道民の私としては、見慣れた地名や風景が出てくるのが
嬉しかったが、新聞やテレビで撮影時に騒がれていた割には
少々印象が薄かったかな。
利尻や礼文の離島風景がもっとあっても良かったなぁ。

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くろすけ

4.0どうしようもないくらい 君を想う

2012年12月1日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

たくさんの人がこの映画を見て感じている「不倫」に対する憎悪
世間一般の倫理の前に、必ずしも否定されてしまう
なぜだろう?

人が人を想う気持ちに変わりはないと僕は思う

だから先生は定年までも独りだし、これからもずっと独りで生きて
行くのだと思う
自分の犯した罪の罰を背負い、この人はずっと生きてきたのだ
叶わぬ想いを胸に秘めて生きている人はこの世界にはいっぱい居て
そんな想いのほうが尊くさえ思えてしまう自分はやはり捻くれて
いるのだろうか。

一時の感情や欲望に流されるだけの色恋話なら、僕も否定すると思う
でもここで描かれた先生の「それ」は違うと。
どうしようもないくらい人を好きになり、いとおしいと思うことは
誰にでも起こりえるのだ

さすがに20年前の先生は小百合さんで無くてよかったのではないか
とか
最後に「独りじゃない」って言っている5人の同級生。
だったら20年ほっとかずに、もっと大切に思い合い生活しろよ
とツッコミどころ満載でしたが、久々に泣きましたよ。号泣です。
これからは先生も含めてみんなで助け合い、生きていってほしい。

ふるさとがあり、仲間が居る6人がとても羨ましく思えたラストでした。

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ripc02

2.5案の定

2012年11月30日
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単純

案の定、吉永さゆりを吉永さゆりたらしめんための作品。
なんかこう…もっとやりようがあるだろうに…。
実力派若手俳優をあんなにたくさん集めておいて、
なんともったいない。
一番のツッコミどころは、宮﨑あおいの
「好き」
ではないかと。

森山未來と満島ひかりでプラス0.5

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kate

3.0岩場でバーベキューはやめよう。

2012年11月24日
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悲しい

怖い

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ハチコ

4.5オレ生きてていいんだよね

2012年11月14日
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泣ける

小学校の合唱といえばオレもロシア民謡をやらされた。当時は音感がよくなかったから、口パクやってたような気がする。でも今はその影響かどうか、ジャンルを問わずミュージックは好きだ。カラオケも好きだ。ロシア民謡は何曲も歌える。ミュージックのない世界は不毛だ。合唱をやらせた先生に感謝する。キャストが登場順となっていた。なぜ?ラストの再会でその理由が分かったような気がする。ドバッと涙がでた。そんなに泣かせるシーンではないと思うが、そこまでの木村大作の美しい映像(夕景の赤と青、雪景色の白など)もあって、感情を大きく揺さぶられるのだ。「剱岳 点の記」も映画らしい品のある作品だった。木村大作、おそるべし。

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ace

2.0いい話「げ」な映画(゚∀゚)アヒャ

2012年11月13日
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怖い

単純

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初台験

3.5全員主役級のスターが勢揃いの吉永さん映画!

2012年11月12日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

現在と過去の時間軸をうまくつなげた、静かなサスペンスに仕上がってました。
話はたいそう面白いと思う。
吉永先生や、生徒たちがそれぞれにこうと思っていることが全て‘実はこうだった…’という話をうち明かしながら進行していきます。
100%分かり合いながら生き抜くことがなんと難しいことか…
それにしても、吉永小百合はじめ、出演者たちがなにげに豪華!!!
子役が大人になった配役なんて宮崎あおいはじめ主役級のスターばかり!!
子供たちの歌も激ウマでしたよ。
ラストは思わず涙がボロボロ…
しかし、久しぶりに‘純’日本映画っぽいもん見た。
地味に静かにくら〜く進みます、こんなストーリーだから仕方ないか…。
それにしても吉永さん、すごい綺麗だし、さすがです!
北の海に飛び込んじゃうなんて…ただ綺麗なだけじゃなくて役者魂も超一流な感じでした!

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peanuts

2.5吉永小百合様への敬意が詰まった映画

2012年11月11日
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鑑賞方法:映画館

単純

先ごろの「あなたへ」そしてこの「北のカナリアたち」
日本映画を牽引してきたお二方に
主演級の若手も共演を切望したであろう風が詰まった映画。

作品的には、湊かなえのそこそこな話を
少々ご都合的にアレンジしてあるのでイマイチ感は否めず。

しかし御年重ね貴重な数本になるでしょう小百合様を
スクリーンで拝見を目的に
木村さん撮影風景をゆるりと堪能目的で・・・ってとこでなら十分かと

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たむさん

4.5生きよう辛くても

2012年11月8日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

良かった!邦画の今年1番です。脚本もキャストも素晴らしい。
子供達の透き通った歌声が大人達の荒んだ心に届いてほしくて、切なくなります。
柴田恭平が舞台挨拶で、「みんな誉められたかったんです、吉永さんに誉められたくて頑張ったんですよ」と話してた言葉を思い出しました。
役者が全面に出過ぎて本筋に入り込めない事は大物俳優の映画にありがちですが、この映画はむしろ生徒5人の役者たちが、本当に吉永小百合を慕う温かい絆が伝わって来て、それゆえになおさら切なくて悲しくて、入り込み過ぎて観ている自分も生徒になりたくなりました。
人間は脆くて、でも強いなぁ。だから生きているって言葉は重くてそして暖かい。

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ミントユ

4.5出演者皆それぞれ素晴らしい!昔似た伊映画、「汚れなき悪戯」を想い起こす秀作

2012年11月8日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

幸せ

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ryuu topiann

4.0ミステリー&ヒューマン

2012年11月8日
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泣ける

幸せ

萌える

湊かなえさんの作品の映画化と言うことで鑑賞してきました。20年前におきた事件で利尻の分校を出ていく事になった、はるが教え子の起こした事件によって利尻に戻る事から始まる。分校の生徒ひとりひとりに会い、謎がどんどん明らかにされていく。観客を引き寄せる事実と、大半が雪の中のシーンなのに木村さんの力か風景が美しい。特に利尻富士!それと全般に流れる子供たちの歌が心楽しくさせる。一人一人の演技も良くみんなチームだから、何があっても絶対信じあうという気持ちが伝わりました。

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未散

4.0凍て付く過去を溶かす唄

2012年11月5日
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悲しい

幸せ

かつての教え子が殺人を犯したという報せを受けた元教師の女。
それをきっかけに、離島の分校で起きた20年前の悲劇の真相が、
教師と生徒6人の視点を通して紐解かれてゆく……。
正確には違うが、いわゆる“羅生門”スタイルに近い語り口のミステリー。

まずは役者だけでも見応え十分。
吉永小百合は、40代を演じるのは流石にやや無理があると思うが(苦笑)、
暖かさと慈悲深さが滲み出る存在感が役にピタリとはまっている。
満島ひかり、宮崎あおい、松田龍平を始めとして、
単独でも主演を張れる若手実力派達もキッチリ良い演技。
子役も映画の雰囲気を崩さない演技だった。唄も抜群だしね。
あと、石橋蓮司や里見浩太朗といったベテランに混じって、
意外や福本清三が好演していたのが印象的。
(クリスマス会での表情、凄くステキだった)

厳格な自然風景も美しい。
荒々しい海と、穏やかに光射す海。こちらの芯まで冷え込むほどに吹き荒ぶ雪。
その中で、劇中の台詞そのままちっぽけに佇む人間たち。

深く深く降り積もった雪は、まるで主人公らの時間が
“あの事件”以来凍り付いたままである事を示すかのよう。
この物語の誰もが過去の自分を恥じ、雪に足を取られるかのように、
うまく身動きが取れないまま生きている。

その過去を溶かす、最後の暖かな唄声。
誰かが自分の事を心配してくれる。生きてて欲しいと言ってくれる。
それがどれだけの救いになるか。
人が前に進むには、人の優しさが必要なんよ。
打ちひしがれた者に、象牙の舟と銀の櫂を与える優しさが。

「俺は何を忘れてきたんだろうなあ」

忘れたくても忘れられない、謝りたくても謝れない、小さな頃の大きな後悔。
そんな記憶のひとつやふたつ、誰しも抱えているものじゃないかしら。
とうの昔に忘れた気でいたのに、時々ふっと顔を覗かせては心を苛む、そんな記憶。
これは、そんな後悔についての物語なのだと思う。

難点を言うなら、
随所の展開や設定がドラマチック過ぎて作り物っぽさが出てしまった点かな。
先生が来たその日に不倫相手の妻と口論になったり、
もうすぐ海外に発つ事になってたり。
一番違和感を感じたのは、仲村トオル演じる人物の設定。
突飛というか、この物語とは少し遊離してる気がした。
あと、森山未来の吃音の演技は少しやりすぎかな。

とはいえ、心暖まる秀作ミステリーです。
是非、劇場でご鑑賞を。

<2012/11/3鑑賞>

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浮遊きびなご

3.5心がほっこりする映画

2012年11月5日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

湊かなえさんが好きなので観にいきました。

原作とはまた違った面白さがあり、これはこれで楽しめました。
特に重要人物となる森山未來の演技が良かったですね。

あんなに感情表現をうまく表せる俳優さんっていないと思います。

ラストは感動的で、涙が出ました。
少しストーリーが微妙かな?と思いましたが、ラストで払拭されました。

旧友との再会って、いいですね。

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牛 乳 し ほ り 。

4.5涙ポロポロ

2012年11月4日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

原作が湊かなえという点と、役者揃いなので見てみることに。
しんみりしたお話だけど、それぞれの人物の背景が徐々に分かっていき、最後まで見入った。
そして終わる頃には涙が止まらなくなっていた。
自分の琴線に触れまくりの映画で、久々の良作でした。
あまり事前情報を調べずに、各役者さんがどの子役の成長後かを知るのも楽しいと思う。

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ただし

4.0終盤が良い。

2012年11月3日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

ある事がきっかけで、
クラスが強制終了してしまった先生と生徒。

20年間を要して人間として落ち着いた双方が再会。

”歌で結び付きを取り戻す”
感情ゆたかな終盤が良かった。

胸を打つ。

手堅い印象を抱くが、
支え合いの心強さが際立つ観賞後の余韻はあたたかい。

かつての先生と同級生に会いたくなる。

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AKIRA

3.0吉永先生と6人の若手教え子たち

2012年11月1日
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鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

知的

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近大

5.0どんなに辛いときも、みんなで歌った「かなりあ」がきっと支えになるはずだと思えたのです。

2012年10月30日
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鑑賞方法:映画館

 東映60周年に引っかけて、どうせ吉永小百合をよく見せるだけの企画だろうと、全く期待しないで試写会に参加しました。ところが、会場ではあちこちからすすり泣く声。吉永小百合の存在感を超越して、観客の誰もが原作の湊かなえが描き出す世界観にすっかりはまってしまい、深い感動を感じてしまったのです。今年一番の泣ける映画として特選しておきます。

 長い女優人生のなかでも、吉永小百合主演のサスペンスは珍しいと思います。本作は主人公の元教員川島はるが抱えていたこころの秘密を、まるでサスペンスドラマのように、現在と過去を行き来しながら、明かしていきます。
 舞台となるのは礼文島の岬の突端に立つ分校。目前にそびえる利尻島の利尻冨士を背景とした雄大な映像美は、それだけでこの物語をドラマアップしていました。はるが現役の教員だった頃の6人の生徒と触れあうシーンは、夏場の快活な風景に。そして、厳しい現実と立ち向かっていくことになる現在の映像は、厳寒期の荒涼とした雪景色に。この対比を見ていくと、これ一本が吉永小百合の女優人生を言い表しているような気がしました。

 夏場の過去のシーンは、『青い山脈』に代表される青春映画に主演したころの作品とイメージが重なり、ました。そして厳冬期に描かれる現在のシーンは、『夢千代日記』など、最近の人生の荒波を渡っていく彼女の主演作品を彷彿させてくれました。でも序盤は斜めに見てしまったのです。けれども、はるの教員時代と老境を迎えた現在の約20年もの段差を、違和感なく演じてしまう小百合の爽やかな変身ぶり!この人はまだまだ現役の大女優なんだ!熟々感心させられたのです。
  なので、世のサユリストの皆さまには、こころからお詫びしたいと思います。吉永小百合は、ミーハーに持ち上げられた存在だけでなく、その人気はしっかりした演技力とオーラに包まれていたことを、本作で再認識いたしました。

 物語は、東京の図書館を定年退職したはるのもとに、刑事が訪れるところから始まります。刑事は分校で6人の教え子のうちの1人・鈴木信人が殺人事件を起こし指名手配となったことを、はるに告げます。
 信人を信じたいはるは、確証を得るために北海道へと渡り、20年ぶりに教え子たちを訪ねて信人の身辺に起こった出来事を聞き出そうとします。その度ごとに、映像は20年前の出来事が再現されていくのでした。

 当初のはるの描かれ方は、20年前に教え子たちの身の上に降りかかった出来事の案内役のような役割であり、信人の冤罪が晴らされていく展開かなと思ったら、違っていきました。
 当時のことが明かされるごとに、次第に濃くなっていくのは、なぜはるが教師を辞めて、住民たちの白眼視に、追われるように島を立ち去ったかという謎です。
 それは、はるの夫が事故死ししたとき、何処かで別な男と密会していたのではないかという不倫疑惑でマックスに達します。

 さらに不思議なのは、教え子の誰もが、過去を振り返って、行夫が溺れ死んだ事故は、自分の責任だというのです。行夫の死は、はるだけでなく教え子のひとりひとりに、悔恨の傷跡を残していたのでした。けれども、教え子たちの証言が積み重なっていく中で、真相が見え始めて、それぞれの曇りは晴れていきます。
 教え子たちのその後の人生にも、波乱万丈で、ちゃんと毒や喪失感を埋め込んでいるところが、さすが湊かなえ原作だなと感じました。
 特に真奈美が親友の夫と不倫していることを告白するシーンは、衝撃的。そんな真奈美がはるの言葉に癒されてしまうのも、もしかしてはるが同類ゆえのものかと思えました。
 同窓生の20年ぶりの再会は、恋も生まれたりで多彩に。やがて6人の打ち明け話が進むことにより、はるが封印してきたこころの秘密が見え始めます。

 はるが疑われたのは、警察官だった阿部の存在。原作では郵送されてくる阿部からの手紙が一層ミステリアス役割を果たしているのでご一読を。
 ふたりが出会ったのは、自殺しようとした阿部をはるが思い留めさせたためでした。阿部は犯人を取り逃がしただけでなく、追い詰めた結果、犠牲者まで出てしまい深い責任感で、生きる気力を無くしていたのです。出会って以来、はるは阿部が死なないように、ずっと寄りそっていたのでした。そんなはるの何事にも献身的な性格が、阿部を支える感情が不倫なのか、人間愛なのか教え子たちの証言でもにわかにはっきりしません。
 結論は伏せます。ただはっきりしていることは、末期ガンに冒され余命幾ばくもない夫の行夫は、ふたりの親密さに気付いていたことです。そればかりか、自分の死後を阿部に託そうとまで考えていたのです。
 溺死する寸前に行夫が放ったラストメッセージには、グッときましたね。最愛の夫の最期にそばにいなかったはるにとって、教え子から聞き出した行夫の最後のメッセージには、ただただ泣き崩れるしかありませんでした。なんという行夫の抱擁力の大きさなんでしょう!

 ところで、原題は「二十年後の宿題」。何が宿題だったかというと、童謡「かなりあ」を課題曲として、授業でみんなで合唱することでした。教え子たちに歌の才能があることを気付いたはるは、赴任中ずっと教え子たちに合唱指導してきたのです。6人の歌声は素晴らしいハーモニーとなって、島の美しい風景とこだましあい、希望ある未来を描きだしていました。それは20年経っても変わらなかったのです。

 あいにく「かなりあ」の合唱は、はるが突然島を去ってしまったので、宿題のままで終わってしまいました。そのことを一番気にしていたのが、逃げていた信人でした。信人が捕まったとき、刑事の恩情で、思い出の分校に立寄ることになります。
 そこには、何とはると教え子たちが揃っていて、20年ぶりに宿題だった「かなりあ」をみんなで合唱するのです。感激して涙する信人には、思わずもらい泣きしてしまいました。
 ずっと信人は、カナリアは何を忘れたか気になっていたとはるに告げます。それは、希望なのよと、はるは答えます。夫の真意に気付いたはるにとっても、歌を忘れたカナリアの意味は感慨深いものがあったでしょう。
 それ以上に感動したのは、20年の歳月を超えて、歌でつながっている6人の教え子と恩師の絆の深さです。みんなこれからも様々な宿命を背負って生きていかなければならないでしょう。どんなに辛いときも、みんなで歌った「かなりあ」がきっと支えになるはずだと思えたのです。

 本作では、主演の吉永小百合の熱演だけでなく、脇役も味わいある演技を披露しています。妻に対する複雑な思いと末期ガン悲壮感を説得力ある演技で見せ付けた柴田恭兵が良かったです。そして出演場面は少ないものの、キイマンとなる阿部の今にも死にそうな悲壮感を仲村トオルがうまく表現していました。包容力に満ちたはるの父親堀田久を演じた里見浩太朗も良かったと思います。

 演出面では、教え子の20年後の配役と当時の子役の個性がちゃんと繋がっているところが素晴らしいです。
 そして、一番感動したのは、名カメラマン木村大作による圧倒的な映像美です。海面が照らされて、部分的に輝く、はると阿部の出会うシーンには、ハッとさせられました。

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流山の小地蔵

3.0久し振りの吉永さんは…

2012年10月25日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

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熊☆勝