またもや高度成長期の物語。輝かしい日本企業の活躍の裏にはこうした事件が隠されていた!知らなかった・・・
貴乃花が大関推挙伝達式において「不撓不屈の精神で」という口上によってニュースになったが、この「不撓不屈」という言葉は流行語大賞には選ばれなかった。しかし、皮肉なもので2年後には宮沢りえの「すったもんだがありました」が見事流行語大賞に選ばれた。そんなこんなでこの映画は1人の税理士が国家権力である国税局と対決する実話に基づいた物語。国税局といえば『マルサの女』を思い出しますが、この「マルサ」という言葉は1987年に流行語大賞に選ばれています。
『マルサの女』を観て国税局のかっこよさに憧れた人も多いでしょうけど、この『不撓不屈』を観ると考えがガラリと変わるはずです。大企業を優遇した税制、中小企業イジメ。時代は高度経済成長期であるため、弱い者から税金をふんだくろうったって、全体の税収からみれば微々たるものなんです。脱税はさすがに許されないことですが、合法的な節税であれば問題ない。それを国税局は税理士法改正のために反抗する者を脱税者として排除しようとする。その横暴なやり方に反旗を翻した男、飯塚毅が目をつけられることになった・・・
全体的に飽きさせることのない展開で、迫力ある映像もないしアクションだってもちろんない。弱者のために正しいことをやっているんだという主人公の信念に心を揺すぶられて、不当な捜査に怒り震えるといった心的迫力が全てなのです。国税の嫌がらせのため離れていく顧客や不当逮捕のためやむなく退職する従業員にも心を痛め、相手を貶めることを潔しとしない飯塚に惚れ惚れしてしまったくらい。う~ん、よかった。大企業に勤める人以外は必見かも。