劇場公開日 2011年9月3日

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「まず観てみることをお勧めします。」監督失格 青山大輔さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0まず観てみることをお勧めします。

2012年1月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

林由美香と言えばまず思い出すのは平野勝之。彼がなにをどうやって林由美香を描くのか、その興味だけでずっと気になっていたわけで・・・

スタッフロールが流れた瞬間、ボーっとしてました。「俺はいま、とんでもないものを観たのではないか?」。

『それは一本のビデオテープから始まった』といえば『あんにょん由美香』と同じセリフになっちゃいますが、そのテープがあまりにも凄かった。確かにこれがあったら林由美香が亡くなってから5年間何も撮れなかったという気持ちがよくわかる。

けれどもそれが無かったらこの映画は存在しないし、平野氏自体もう映画は撮らなかったと思う。

じゃあ何故作ったのか?

『あんにょん由美香』で松江君が平野氏に挨拶に行った時、「俺はいまやれないね」って語ってました。それをやってしまった。多分それは「林由美香の呪縛を取らなきゃ前に進めないんじゃないか」と。5年間なにも出来なかったんだから。

プロデューサーの庵野秀明もエヴァの呪縛があるから。

感動とかそういうものじゃない。言ってしまえば平野氏のおのろけ映画ともいえるが、好きな人におのろけても別にいいじゃない。

ただ見終わった瞬間、平野氏は映画を辞めるんじゃないか?と思ってしまった。
上映後、寺脇研とトークしてたら、話がどんどん進んじゃってティーチインが無くなって仕舞いましたが、寺脇氏の計らいで「出口で監督にいさせますので面白かったとか、この糞野郎とか声かけてください」と言われたので、閉会式があったのですが、別に関係ないのでいの一番に挨拶に行きました。

私「次回作はあるんでしょうか?」
監督「もう企画があります」
私「あのー、松江監督と不仲なんですか?」
監督「そんなことないですよ。試写会も来てくれたし。まぁ彼がどう思っているのかわかりませんけどね(笑)」
私「次回作、期待しています。頑張ってください!」

と、握手してきました。両手で握手してくれました。その時の監督の笑顔は清々しいものでした。
吹っ切れたのかな?

情熱を感じました。素晴らしい映画だと思います。
お近くで上映されたら見にいくことをお勧めします。

これはドキュメンタリーである最大の恋愛映画です。

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青山大輔