劇場公開日 2011年8月13日

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「暴力に暴力で応酬してはいけない。そのメッセージを、「いじめ」と「戦...」未来を生きる君たちへ supersilentさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5暴力に暴力で応酬してはいけない。そのメッセージを、「いじめ」と「戦...

2017年5月9日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

難しい

暴力に暴力で応酬してはいけない。そのメッセージを、「いじめ」と「戦争」という2つの「暴力の現場」から描いた本作。いじめの現場で子供たちは、暴力に暴力でやり返すことで、なめられないようにした。それではいけないと身をもって教えた父も、戦争の現場では愚弄の声に負け、暴力の連鎖に手を貸した。

二つの家族について言えば、すれ違いはあれど愛のある親たちが家族を一つにした。それが紆余曲折を経てハッピーエンドで終わったのはいいことかもしれない。けれど世界の問題はまったく変わらずにそこにある。

変えようとするのは無理なのか?
それはやはり無理なのかもしれないが、やはり諦めてはいけないのだろう。
そういうことを考えさせてくれる良作だった。

映画のラストシーンで流れるアフリカの難民の子供たちの笑顔が印象深い。
医師団の車を追いかけるシーンは映画の冒頭を始め、それ以前にも何度も描かれていたが、そこにどんな意味がわからなかった。ものが欲しいから追いかけているのか。車が珍しいから追いかけているのか。そんな風に思っていた自分が恥ずかしくなる。彼らは感謝していたのだ。自分たちを守ってくれるヒーローに。

手を振る子供たちの笑顔がこの映画のすべてを物語っている。憎しみや暴力は決してなくならずこの世界は悲しみに満ちている。しかし我々はいつだって生きていかなくてはいけない。そうであるなら自分のできる選択をしていくべきなのだ。その揺るぎない信念があればそれがどんな選択であれ、未来は希望に満ちたものになるはずだ。

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