劇場公開日 2002年2月2日

「思春期のもどかしさがギュッと詰まった切ないSF」ほしのこえ よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0思春期のもどかしさがギュッと詰まった切ないSF

2018年1月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

2039年、埼玉の中学3年生ミカコとノボルはお互いに恋心を抱いていたが、ミカコは高校に進学せず、国連宇宙軍に入隊、突如現れた異星人タルシアンを追う艦隊メンバーとして宇宙へ旅立つ。離れ離れになった2人はそれでも携帯メールで連絡をとり合っていたが、艦隊は太陽系を離れることになり、次第にメールの送受信にかかる時間が1年、数年と長くなり、タルシアンとの戦いに没頭しながらもノボルとの通信を続けていたミカコは、もはや届くかどうかも定かでないメールで言いたくても言えなかった思いを綴って送信するが、それがノボルの元に届くのは8年後・・・。

2002年の作品なので、二人が通信で使うのはガラパゴスですらないケータイ。お互いの気持ちを解っているのに確かめることを躊躇うティーンエイジャーの心のもやもやと正体の知れぬ異星人との戦闘を同時に描写する辺りにマクロスや『トップをねらえ!』からの影響が顕著なるも、頻繁に横切る貨物列車、コンビニの店先、寂れたバス停等二人の心情の背景はあくまで埼玉。24分ほどの短編アニメながら、胸が締めつけられるような思春期のもどかしさがぎゅっと凝縮された切ない物語でした。

よね