マイウェイ 12,000キロの真実 : 映画評論・批評

マイウェイ 12,000キロの真実

劇場公開日 2012年1月14日
2012年1月10日更新 2012年1月14日より丸の内TOEI1ほかにてロードショー

スペクタクルシーン満載のダイナミックな戦争巨編

アジア映画もついにここまで来たか、と驚嘆せざるをえないスペクタクルシーン満載の戦争巨編だ。映画史に名高い「プライベート・ライアン」に匹敵するような、痛々しくも凄惨な戦闘描写もある。「シュリ」のカン・ジェギュ監督の情熱は九分九厘、戦争場面のリアルな再現に没頭している。例えば、鳥の目のような俯瞰カメラからとらえられた連合軍のノルマンディー上陸作戦は見事だ。画面中央に落下傘部隊、画面前方に水際の上陸作戦が同時に展開されるという立体的かつダイナミックな画面構成はため息が出るほどだ。

長距離ランナーである日本人の長谷川辰雄(オダギリジョー)と韓国人のキム・ジュンシク(チャン・ドンゴン)という2人の男が、日本軍、ソ連軍、ドイツ軍という異なる3つの軍服を着ながら、第2次世界大戦の12000キロにも及ぶ3つの激戦地を戦い抜く、という荒唐無稽な話だ。戦争映画の傑作「最前線物語」のテーマでもあった“死なないこと”を教訓として諭すかのように、2人の主人公はクライマックスまで、どんな生死の境に遭遇しても、軽々と死線を越えてしまうのがおもしろい。生きること=“走ること”。2人は走ったぶんだけ、憎しみから友情へ、友情から愛へ、互いの心の距離を縮めていく。

日韓を代表する二大俳優の共演は見せ場満載だ。2人の国籍を超えた友情が「ブラザーフッド」の兄弟愛同様に感動のツボになり、涙腺を刺激する。不動の心の持ち主であるジュンシク。一方の辰雄は不条理な戦争体験を経て心に変化を見せる。凄味すら感じさせる戦争描写に比べれば、その友情のドラマは満点とはいえないが、日韓の歴史に翻弄された当事者であるがゆえ、感動は深く沈澱する。

サトウムツオ

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