「ほのぼのとした笑いに包まれた、実は残酷な物語」イリュージョニスト みつまる。さんの映画レビュー(感想・評価)
ほのぼのとした笑いに包まれた、実は残酷な物語
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初老の時代遅れの手品師タチシェフが、フーテンの寅さんのように旅から旅への旅烏の先に出会ったのは、生き別れになった自分の娘の面影を持つ少女アリス。
彼女はスコットランドの片田舎から一歩も足を踏み出したことのない純粋無垢な少女であるが故に、 タチシェフを本物の魔法使いだと信じ込んでしまう。
今どきの女子にしては珍しいほどピュアな魂を持つアリスは、次から次へとタチシェフに物をねだっては彼を困らせる。
アリスは外の世界ではお金がなくては、1日たりとも生きて行けない事を知る由もなく、挙げ句の果てに1人の青年と恋におちてしまう。
そして、アリスの保護責任を放棄したタチシェフは、彼女の前から静かに立ち去るのであった ー。
現実逃避したい向きには、これはノスタルジックな旅愁を誘うアニメーションに映るかもしれない。
だが、老いの現実はもう間もなくタチシェフの元に訪れるだろうし、夫婦生活の厳しさはアリスの前に容赦なく降り注ぐだろう。
願わくば、アリスをスコットランドの片田舎へと送り返したタチシェフが、その地にしっかり根を下ろし余生を過ごして欲しかった。自分では少し現実的になりすぎかな〰とは思うけど。
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