劇場公開日 2011年3月26日

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「魔法使いはいない…」イリュージョニスト とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0魔法使いはいない…

2020年2月18日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

知的

萌える

とても余韻を残す作品。

安野光雅氏の『旅の絵本』の中で展開されるような、味わい深い物語。

老手品師と、押しかけ女房ならぬ押しかけ娘(アリス)の物語。
 喜劇役者&監督タチ氏が娘にあてた脚本をアニメ化したもの。
 一説によると、ブレイクする前に産まれた、一緒に暮らせなかった娘をイメージしたとも。
 そういう意味では、老手品師も娘にイリュージョン(父娘ごっこ)を見せてもらった。

 でも、奇跡は起きない。極めて現実…。
 愛があふれればあふれるほど、切ない。

この二人の関係を描きながら、
 背景として、機械化とマスメディアの波が押し寄せて、その波にのまれてしまった人々の姿も描く。
 一つの仕事をプライドを持って続けるにしても、需要と供給の波は容赦なく、人に変革を迫る。

セリフもほとんどなく、けばけばしい音楽もほとんどなく、しっとりとした味わい深い作品。
 でも反面、自分の万能感の果てのような場面も見せられて、心がイタイ。
 いつか来る引き際、幕引き、そして次の人生。私はどのように迎えて、どのように旅立つのだろう。
 老手品師のように、与えた喜び・豊かさを胸に旅立てるのだろうか?

とみいじょん