劇場公開日 2011年1月8日

「気味の悪さはピカイチ」スプライス Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0気味の悪さはピカイチ

2017年8月9日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

進歩する科学技術が産んだ産物は正直ロクな結果を産まないのは映画の定番ネタである。本作もまた、そんな科学技術に警鐘を鳴らすかのような一作なのだろうが、胸糞悪さが妙に残り、中々評価をすることが難しい作品であった。
ヴィンチェンゾ・ナタリ監督の作品という事で、細かな伏線回収や謎解き、不条理さを求めてしまう自分がいるが、本作はテーマこそ「生物の創造」という難しいものであるが、ストーリーは至って簡単な仕上がりで観やすい作品となっていた。そんな新生物を創り上げた科学者二人は、会社という大きな存在の元、結果を出さなければならないというプレッシャーや、会社にこのまま飲み込まれたくないという闘争心等を抱えた挙げ句、二人だけで秘密の研究を続けるという内容だ。そして生まれた新生物、ドレン。このドレンに二人してだんだんと愛着が湧いてきてしまうのだが、隠しきれずに会社の倉庫、しまいには実家の納屋でドレンを匿うことになる。
幾つもの小難しい計算や薬品の調合をこなしてきたいわゆる天才な科学者様なのだが、この二人は賢いのかバカなのかが良く分からない。生物の創造という禁忌についての罪の意識はやはりあるものの、管理方法が甘すぎて本当に科学者かと疑ってしまう。ましてや成長して美しく(?)なったドレンと交わろうなんて、禁忌もクソもあったもんじゃない。「バカと天才は紙一重」を具体的に表すとこういうことなのかも知れないが、その設定が現実味を薄くしている様に思えて残念である。ここを改良し、もう少しドレンの生物としての魅力や怖さを中心に描いてほしかった。

Mina