劇場公開日 2011年11月12日

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「「私、女優!主演の、女優!!」」第7鉱区 ダックス奮闘{ふんとう}さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「私、女優!主演の、女優!!」

2011年11月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

幸せ

本国韓国において高い興行成績を残した「光州5・11」を手掛けたキム・ジフン監督が、「デュエリスト」などで知られるハ・ジウォンを主演に迎えて描く、パニックアクション作品。

石油が眠っていると目される第7鉱区において、発掘作業に全てを捧げている主人公。掘り続けていた海底から出現したのは未知の生物。その余りの美しさに発掘施設の中で研究してみることにしたのだが、実はこの生物・・。

韓国が日本に送り込む初の3D作品。表向きのパッケージを素直に捉えるならば、非常にシンプルなストーリーと精巧なCG技術を駆使したモンスターパニック映画として完成している。

石油開発という世界レベルで頭を抱えている厄介な問題を前提にして本作を考えれば、挫折、恐怖、抑圧の中で苦しみながらも、前進をやめない勇ましく、果敢な韓国民の勇姿をパニック映画の中にさりげなく落とし込んだ「極めて、韓国らしい」映画という見方が出来る作品でもある。

しかし、何よりもこの作品を魅力的に彩っているのは本作の主人公を演じた女優、ハ・ジウォンの圧倒的な存在感としなやかさにある。一見、銃を何発もお見舞いしても屁のカッパである生物と、大勢の人間の戦いという構図が見えるのだが、鑑賞してみれば分かる様にこの映画、「女優映画」である。

パニックという明解な舞台の中で、可憐な涙に、爽快なバイクさばき、重厚なガンアクションに、タンクトップの見事なプロポーションと、徹底してハ・ジウォンの魅力と格好良さをこれでもかとさらけ出すことに全力が注がれる。

粘着物質モンスターがポイントの映画のはずが、いつのまにやら女優の独壇場のような様相をみせる。「私、格好良いでしょう!!」と言わんばかりの声高な暴れっぷり。これが新人の美人女優なら腹も立つが、韓国映画界を背負う実力派女優だからこそ、観客は惹き付けられる。見てしまう。ドキドキしてしまう。

韓国映画界の至宝、アン・ソンギさえ押しのけて露骨に輝く主演女優の力強さ、可能性が活きたからこそ生まれた興奮度最大限のアクション大作。韓国という国の役者を活かすセンスは、決して安く見てはいけない。いや、我が国は大いに参考にすべき試行錯誤と、役者への強い愛着がある。

ダックス奮闘{ふんとう}