劇場公開日 2010年10月16日

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インシテミル 7日間のデス・ゲーム : インタビュー

2010年10月15日更新
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綾瀬はるか、不思議な雰囲気と天然の感性で本領発揮

綾瀬はるかには、どこか不思議な雰囲気が漂う。映画、ドラマを問わずコメディーで抜群のセンスを発揮している印象が強いが、ミステリーや時代劇も難なくこなし、時にはサイボーグにまでなってしまう。中田秀夫監督の心理スリラー「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」では、ほとんど感情を表に出さないミステリアスなヒロインに挑んだ。どんな質問にも真しに答える姿勢から、自然体のなかにとけ込んだ天然の感性が彼女の魅力なのでは、という思いに至った。(取材・文:鈴木元、写真:堀弥生)

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「だますのはちょっと下手で、すぐにばれると思います。だまそうとしても、完ぺきなトリックができない、みたいな」

こう語る綾瀬の言葉からすれば、「インシテミル」で演じた元OL・須和名祥子は不得手な役のような気がする。事実、脚本を読んだ段階で「共感しにくい役」だったという。だが、それがかえって「やってみたい」という女優の本能をかき立てたのではないだろうか。

「中田(秀夫)監督も『須和名さんって、一番難しい役だからね』と話していました。か弱くて清そで無口で、感情を表に出さない女性でしたが、逆にイメージはしやすかったですね。感情の起伏がよく見えないし、須和名さんも自らを偽っているような二重構造的な部分がある。そのあたりは、ちょっと難しかったかな。(感情を)どの程度出すかなど、監督と毎回話し合ってやりました」

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時給11万2000円という高額報酬につられ、「7日にわたる心理学の実験」というバイトに集まったワケありの10人。須和名も、フリーターの結城(藤原竜也)を誘って参加する。単純なバイトのはずが、幽閉された館のルールに則り1人、また1人と死体が増えていく。犯人は誰? 残された者たちは皆、疑心暗鬼になり、極限状態の中で生死を懸けた心理ゲームが繰り広げられる。演じる上では、初顔合わせとなった中田監督の存在が大きな支えになった。

「すごく熱い方で、1カットごとに状況説明をしてくれるんです。『血の生臭いにおいが漂っていますよ。本番!』みたいに、皆の集中力を上げさせてくれる。いつも『僕は皆さんがいい芝居ができるように、パワーを送っているんですよ』っておっしゃる、その熱意が伝わってきて、大好きな監督になりました」

密室劇なだけに、撮影も同じ館のセットで約1カ月以上に及んだ。閉そく感に満ちた環境と、多いときで1カットに5~6テイクを重ねる中田監督の粘り強い演出によって、作品同様、緊張感にあふれた現場になったという。

「待っている間は、気を張っていると疲れちゃうのでオフにしますけれど、現場に入ると壁が本当に無機質だし、(全員が集まるリビングに)置いてある人形もすごく気持ち悪い。監督から出る緊張感や空気感で、皆がバッと集中する感じでしたね」

インタビュー2 ~綾瀬はるか、不思議な雰囲気と天然の感性で本領発揮(2/2)
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