劇場公開日 2011年1月29日

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「堀北のラストの微笑」白夜行 クリストフさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5堀北のラストの微笑

2019年8月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

映画としての出来は兎も角、話は面白かったです。
東野作品らしい、悲しい終わり方でした。
「砂の器」の様な、昔の事件の掘り起こし話でした。
事件の発端はスゴイ残念な、ゲスい内容で、
だからこそ雪穂は強かになり、亮司は従順になっていく。
原作とは違うかもしれないが、
途中から雪穂は亮司を利用しているだけ、という司令塔で、
亮司は雪穂の言いなり、だけどちょっと好きかも、
でも彼女が幸せになるなら祝福しよう、という、
屈折した片想いが交錯するのは、心揺さぶってくれて、
堀北真希、高良健吾の演技も良かった。

映画としては、序盤のヒントが少なかった分、
後半のネタばらしで高揚感感じられたのは良かった。
時代考証もちゃんとしていて違和感はさほど無かった。

でも、亮司と付き合っていた薬剤師の自殺の理由が分からない。
雪穂が何故川島と友達になったのかも分からない。
亮司が刑事を殺そうとした動機も不明。
この辺りは、映画にするには無理した場所かな。
2時間ちょっとでは足らない気がする。

あと、最後の刑事(船越栄一郎)が叫ぶところ、
自分の息子の事とかフラッシュバックで入れていけば、
もっと感動できただろうし、台詞が臭い。惜しい。

全体的に惜しい映画でしたが、楽しめました。
堀北の演技の幅を見せられた映画でもあると思います。
最後の不敵な笑みとか良かった。
話の筋としても、
最後の雪穂の台詞は本音なのかもしれないと思うと、
亮司の不憫さが際立つ極上のシーンだと思います。

クリストフ