「日本の心の原点がこの映画に!自然と人々の営みの美しさがある名作」RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5日本の心の原点がこの映画に!自然と人々の営みの美しさがある名作

2011年12月14日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

幸せ

49歳で、電車運転手になる夢を果たした男と言うキャッチコピーが、同年代でありながら夢実現を果たしていない私は、この映画を観る勇気が中々出なかった。今観ると、何故もっと早く観ていれば良かったのにと後悔しきり!
この映画の2作目を先に観て、その出来がとても快く胸に響いたので、やはり変な意地を張っていても気になるものは観てみようとトライした。(映画1本観るのも、なんでそんな大袈裟な?と自分でも思うのだが、いつも映画を観て自分の生き様を考えるので、ついつい本音で、ストレートに直球を投げてくる様な作品は恐い事があるのだ・・・)

仕事と家庭・親と子供・夢と現実・都会と田舎・男と女・人が社会の中で生きるとは、どうして、こうも2極の間を行きつ、戻りつ両方の舵を巧くバランス良く取らなくては生きられないのだろうか?
「俺は、エリート何んかじゃないよ、自分の事しか考えられずに生きて来た人間がエリートな筈は無いじゃないか・・」と中井貴一演じる肇は語る。
最近、いや、最近だけでもないのだが、私は、人は何故生きるのだろうか?と言う疑問が常に自分の脳裏をかすめて自分の人生の先行きの視界がぼんやりと霞んでいるような日々を送っている。(これを更年期ウツと言うのだろうか?否誰でも、人生を顧みる事は有るよね?どうだろうか?)
自分が生きるのは自分の人生であるが、しかし同時に人は多くの人々との関わり合いの中で生きている。むしろ自分で生きていると言うよりは、生かされている、なにものかに生かされていると言う方が自然な気さえしてくるのだ。その自分を生かしているものの正体は何なのか、その存在を、神と言うのか、自然と言うのか、時間と言うのか、何かは解らないが、親が存在し、家庭が有り、仕事が有り、護るべき人がいる。
人一人がこの世に生きていくと言う事は、本当に多くの人々の関わり合いの中で、人に世話になり、時に人々の世話をやく。自分の日々の小さな、小さな仕事に対する努力や、人々との関わりの中で交わされる営みの努力の総ては、自分の選択の積み重ねで、自分自身の努力の結果で有るけれど、それらを行う事の陰には、やはり廻りの人々の、「お蔭さま」が存在していればこそ、と思うのだ。ここに何か、日本人のお蔭さまと言う、私達日本人の
文化と言うか、アイデンティティーの原点が存在している気がする。
今では、こんな口先三寸では、お蔭さまとは言うものの、私は都会暮しをしていると中々人々のお蔭さまを、心底感謝して生活することが少なくなってきている様に思うのだ。
仕事一筋で、家族との団らんを求める暇さえも惜しんで、働き続ける肇だが、その肇自身も家庭を護る為に、家族の為に働いているのだ。しかし結果、家族を犠牲にしていかなくては成らない程に、生真面目に仕事に没頭する、そして会社に奉公する?のが日本人の原点なのか?終身雇用ではもはや無いとは言うものの、日々会社で、働き続けている多くのビジネスマンや、OLさんや、その他多くの人々の努力の日々の生活のお蔭で、会社は利益を上げ、会社は納税し、国家、社会が成り立っている。当たり前に、人々は自分の生活の為に日々仕事をしているのだが、改めてその仕事を誰しもが自分の仕事を続ける努力を惜しまずにしてくれている社会の人々に、そしてその働く人々を支えている多くの人々のお蔭で、日本の生活が成り立っていることに、今、感謝をしたい!日々感謝して生きられる事、これこそが生きている、幸せな生活と言うものだろう!多くの命を生み、育んできたこの自然の大地が有る事、この映画では、素晴らしい島根の自然の風景が命の営みを語り尽くしてくれていた。国土が狭い日本で、自然が失われているとは言ってもまだまだ美しい自然は沢山残されている。同様に美しい、日本の心も大切に残していきたいものだ!
この映画に、今日私が忘れていた、心の原風景を見せられた気がする。ありがとう!!!

ryuu topiann