劇場公開日 2010年5月29日

「暴力と殺しの終わりなき連鎖」座頭市 THE LAST aceさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0暴力と殺しの終わりなき連鎖

2010年10月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

仕込杖の扱いが軽く見える。刀が入っているのだから重いだろう。
杖のつき方、歩き方NG。
白目なし。敵に対するとき白目をむかなければいけない。
市と仲代親分の対決。市が仕込の鞘を捨てる。
居合が鞘を捨てたら居合じゃない。
小次郎の場合は対決に勝っておさめる鞘を捨てたから、
武蔵に「小次郎敗れたり」と言われたが、市の場合は
相手を切るための鞘だから捨ててはいけない。
というわけで、THE LASTは市が主役ではなく脇が主役。
狂気を秘めた凶暴な親分(仲代)
「言うこと聞いてたじゃねぇか」と言って斬られる弱っちぃ親分(岩城)
妻を横取りされて泣き寝入りする代貸(寺島)
「百姓と漁師しか診ねぇ」と言って市の傷をツリ針で縫う老人(原田)
などなど、おいしい役所満載。
監督が出演者、スタッフに5分間の沈黙を要求して、香取と倍賞の手を
重ね集中して撮ったという、雪を背景にした二人のシルエットシーンは泣ける。
暴力には暴力、殺しには殺し。「こんなことだから終わらないじゃないか」
暴力と殺しの終わりなき連鎖。

ace