劇場公開日 2009年8月21日

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「日本語版のテーマ曲をなんとかしてくれぇ~」宇宙(そら)へ。 kerakutenさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5日本語版のテーマ曲をなんとかしてくれぇ~

2009年8月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

宇宙を目指して、国家の威信をかけて、
日進月歩の開発をつづける、アメリカNASA.
雄大な映像とメッセージ性の強い内容を想像していたのですが、
古いニュース画像に、「秘蔵映像」を交えて、
つぎはぎのドキュメンタリーという印象でした。
NASA50年の歴史を一挙放映!永久保存版!!
テレビの特番みたいな感じです。

私はリアルタイムで知っていることも多く、
かなり懐かしかったのだけど・・・

1960年代のうちに人間を月に送るという、
ケネディ大統領の宣言。
目標を設定してそれに向かって努力すれば
人間に不可能はないことを実証するような
夢多き時代でした。
でも時間をおいて見ると、ずいぶん無茶をやってきたようにも思います。
5回に1回は失敗する、まるでロシアンルーレットのような
ジェミニ計画。
失敗するたびに、とてつもない国家予算が灰となり、
尊い人命を失うことも。

当時は、宇宙開発は冷戦下の旧ソビエトとの競争で、
「ここで遅れはとれない」状態だったので、さもありなん、
なのですが、この映画ではソビエトの存在は全く無視、
だったので、歴史を正しくは伝えてはいないのでは、
と思いました。

宇宙飛行士といえば、アームストロング・オルドリン・コリンズの
アポロ11号トリオの名前がまず思い浮かびますが、
私は「地球は青かった」のガガーリン
「ヤーチャイカ(私はカモメ)」のテレシコワだなぁ~

心身ともに屈強な飛行士たち。
彼(彼女)らは、ミッションを果たすために
過酷な訓練に耐え、宇宙に飛びたてたとしても
無事生還できるとは限らないのです。
生還すれば英雄となり、大歓声をあびるのだけれど、
命を失う結果になることも。
それもこれも未来に向かって前進あるのみ、は、
ただただ「お国のため」
と言っているように感じたのだけれど・・・

夏休み中の小学生を見込んでの公開のようですが、
じゃあ、子どもたちに何を感じてほしかったんだろう、と思うと・・・
親に無理やり連れてこられた「ちょっと理解力のないお子様」
にとっては、この映画、途方もなく難しいです。
古い映像はぼんやりしていて見づらいし、言葉も難しい。
逆に、「賢い部類のお子様」にとっては、
地球のこともよくわかってないのに宇宙へ飛び出してしまった
あの「行け行けドンドン」の時代がどう映ったかな?
科学技術の進歩の説明は少なく、飛行士たちの勇気とか、
失敗をおそれない・・・といった精神論ばかりなので、
子どもたちの共感を得られたか、ちょっと心配です。
むしろ、過去の愚かさの上に、新しい時代をつくってほしい
というのならわかるのですが。

エンディング近くで、記憶にまだ新しい、
スペースシャトルコロンビアの事故をとりあげていました。
帰還寸前に連絡を絶った時の管制室。
事故を知った管制官の表情がすべてを物語って、
このリアルな映像は「アポロ13号」の映画以上でした。

知らないことは知らないままでいい
未知の世界に興味はない
自分の目で確かめたいとは思わない・・・
そういう考え方があってもいい
(でもNASAの宇宙開発はそういう考えではなかった)
というナレーション。
宮迫の抑えめの低い声もなかなか良かったです。

ちょっと感動のうちにエンドロール。
そしたら、ゴスペラーズの「宇宙へ。」
「あのそらへ~♪ とどくまで~♪」
というフレーズがあるから採用された、というか、
逆に「ロケットメン」が「宇宙(そら)へ。」という
邦題になったのでしょうか?
ご丁寧に歌詞まで流れて、
宇宙とはぜんぜん関係ない恋の歌なのに。
もうホントにしらけて、ぶち壊しでした。

だいたい。宇宙と書いて「そら」なんて、
理由と書いて「わけ」
運命と書いて「さだめ」
女と書いて「ひと」
演歌の世界じゃん!!
それにさいごの○はなに?
「モーニング娘。」じゃあるまいし・・・

kerakuten
kerakutenさんのコメント
2009年9月3日

shozoさん、コメントありがとうございます。
そう、そうなんです。ゴスペラーズの歌自体はちょっとも悪くないの。(興奮してしまってすみません)
「ミーアキャット」の時も、キマグレンの曲は好きなんだけど、カラハリの雄大な自然の余韻に浸りたいときに、あのリズムは聞きたくなかったです。
吹替版が全部良くない、というわけではないけれど、
せめてシネコンでは、字幕か吹替を選べるようにしてほしいですね。

kerakuten
shozoさんのコメント
2009年9月2日

チャレンジャーの事故をリアルタイムで見たもの。また、当時CNNキャスターの故久和ひとみさんが思い出されました。テレビで映画紹介を観て、早速映画館に走りました。

アメリカの宇宙開発とその人間ドラマ模様を重ねたドキュメンタリー映画ということで、なるほどなとおもったもの。当時レーガン大統領のスピーチは、ケネディ大統領にも勝るとも劣らない内容でした。

ところが、最後コロンビアー事故のあと、エンディングになって、たまげた。ゴスペラーズの歌それには何等異論はありません。でもどうして、あのエンディングにゴスペラーズの歌を入れないといけなかったのだろうか。いっそう歌などいれずに、インスツルメンツだけにしてほしかった。あの歌が、エンディングに入ったお陰で、人類の宇宙へのニューフロンティア精神を、一瞬にして台無しにしてしまったように思える。

shozo