劇場公開日 2010年3月27日

「思ったよりも、深くて知的」誰かが私にキスをした kihoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5思ったよりも、深くて知的

2010年4月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

平日の初回に観に行ったせいか、客員3名。自分以外は小学生の二人組だ。

原作は半年前に一度読んでいたので、流れは分かった上での鑑賞。原作を読んだ時は、少女マンガを小説にしたようなチープさを感じたが、映画のほうが知的な印象を受けた。

日本のアメリカンスクールという設定で興味深かったのが、高校生が平然と心理学の授業を受けたり、ジャクソン・ポロックという80年代の現代美術作家の名前を知っている事だ。日本の一般的な高校ではありえないカリキュラムだし、大学のそうした専門分野を選んだ一部の学生が受けるような授業である。私自身、高校卒業後に発達心理学や、アメリカ現代美術をかじる経験があったため、人物の描写や家族との関係、また、斬新な画面構成を楽しむ事が出来た。しかし、そうした背景を知らない人にとっては、よくわからない映画になってしまうのではないか。

アメリカの10代と同じ感覚で、この映画のターゲットを日本の10代にしたのならば、それは戦略ミスではないか。(教育のカリキュラムが違いすぎる。米で当たり前の文化的感覚も、日本人にしたら「?」)もう少し芸術や心理学、教育学などの分野を理解する知的階層をターゲットにした方が理解されやすかったのではないだろうか。あのポスターでは、そういう層が足を運ばないと思うと残念だ。単に俳優のキスを見せるためだけの映画では無いだろうに。個人的には中々良かったと思うし、単なる恋愛映画ととらえるにはもったいない奥深さがある作品。そうした分野に精通する方の解説が聞きたい。自分の気付かなかった事も、もっとたくさんあるのではないか。

コメントする
kiho