劇場公開日 2009年3月7日

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「漫画チックな医療ドラマ」ジェネラル・ルージュの凱旋 SAOSHIーTONYさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0漫画チックな医療ドラマ

2011年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

知的

様々な映画関連サイトで高評価を得ていたので、観てしまいました。確かに何を言わんとしているのはわかりました。でも、全体的に漫画をそのまま実写化したような感があり、リアリティーに掛けた医療ミステリーに仕上がっていると私は思います。

主人公はある病院の倫理委員会の委員長を勤めている田口先生。ある日彼女の元に“救命救急センター長の速水と医療機器メーカーとの間に癒着がある”との謎の告発文が送られてきます。数日後、ERに厚生労働省の役人・白鳥が搬送され、そこから、速水を巡る様々な騒動が勃発し、病院の複雑な人間関係や現代の医療現場が抱える様々な問題点が浮かび上ってきます。

注目すべき点があるとすれば、それはメッセージ性のあるストーリーくらいでしょうか?脚本には問題はないと思いますが、描き方や俳優陣の演じ方に問題があるように思います。私には、まるで配給元のTBSがフジテレビの医療系ドラマの真似事をしているようにしか見えませんでした。その上、あのラストへの展開の仕方は「踊る大走査線2」と非常によく似ていて、「踊る~」が警察機構の問題点や理想を描いたように「ジェネラル~」は医療現場の問題点をコミカルに指摘し、それなりの理想を観客に訴えかけようとしたんだと思います。ただ、一つだけ違うのは「踊る~」はコミカルさとリアルさを上手く使い分けていたのに対し、「ジェネラル~」は漫画でいたいのか、それとも、リアルな医療ミステリーにしたいのかがはっきりしませんでした。

俳優陣の演技に関していえば、まず、堺さんや平泉さんはのキャラは漫画に登場するようなキャラをそのまま現実世界に引っ張り出したような感があります。特に、堺さんの台詞回しや振舞は漫画キャラそのままです。おそらく、彼は「Dr. コトー診療所」でも医者役を演じた事があるので、その時の役と比較されたくなかったがために今回はあえてコミカル路線へ走ったのだと思います。それから、竹内さんは好きな女優さんの一人ですが、今回は存在感0でした。そして、阿部ちゃんは今回も阿部ちゃんでした。

その他にも、イライラした場面が結構ありました。まず、前半のソフトボールシーンで田口先生がマウンドに上がるまで相手チームの名前すら知らなかったというのはいただけません。それから、速水先生の過去について田口先生と看護婦長さんが話し合っている場面でカメラが植木鉢か何かの葉っぱの真ん前に止まった時はもうどうしようかと思いました。そして、ラストの羽田さんと堺さんのシーンは昼ドラの世界ですね。

まあ、こういった医療ドラマや映画をまったく観た事がない人には、素直に作品の良さが伝わるのかもしれませんし、「チーム バチスタ~」の映画版と比べれば、かなりの進歩だと思います。でも、もうひと頑張りだと私は思います。

SAOSHIーTONY