劇場公開日 2011年7月2日

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マイティ・ソー : インタビュー

2011年6月28日更新
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もちろん、ソー役に抜擢されたクリス・ヘムズワースをはじめ、三銃士を形成したレイ・スティーヴンソン、ジョシュア・ダラスら一緒に過ごすことが多かった共演陣とは互いを刺激し合い、親交を深めたと楽しそうに振り返る。TADANOBUの頭3文字をとって「タッド」の愛称で呼ばれたそうで、まさに戦友としての絆が生まれたようだ。

「俳優たちが現場にいることに喜びを感じている。撮影が待ちきれないって、朝からハイテンションなんです。ユニオンがあるので撮影時間がきっちり決められているというのもあるけれど、その中での皆の集中力が半端じゃない。日本で24時間撮影をするのと変わらないくらい疲れたりもする。短い時間で24時間分の力を注ぎ込むのは、効率がいいなと思いました。リセットする時間もあるし、やるときは徹底的にやる。言い訳をしたら負け。日本でもそういう気持ちで現場にいなければいけないと、反省もしました」

だが、唯一立ちはだかったハードルが英語だ。

「アジアやヨーロッパの人と話すときは皆が第二外国語だから、なんとかノリでごまかせたけれど、今回は米国人と英国人ばかりだから全く無理でしたね。もちろん通訳さんはいてくれましたけれど、けっこう地獄でした(苦笑)。だから毎日、ホテルの部屋で机に向かって勉強していました」

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それでも、自らの手で切り開いたハリウッドに第一歩をしるした確かな手応えは感じた様子。米国に眠る祖父を墓参することもできたという。同時に長い戦いが始まったばかりだという自覚もあり、気を引き締めることも忘れない。その背景には、父親が常々話している「物事は10年しなければ分からない」という言葉がある。

「(撮影が)終わったときは本当にすがすがしい気持ちで、新たな一歩を踏めたと思いました。でも、簡単なことに足を突っ込んだわけではないので。語学ができないという意味では誰よりも苦労するなと思ったけれど、皆が受け入れてくれたし、ここで逃げ出すわけにはいかないと、かえってやる気満々になりました。粘り強く、1本や2本で終わらないように取り組んでいきたい。最初の10年は自分でチャンスを見つけ、自分を鍛える期間。10年たったときにやっとスタート地点に立って、どうなるかだと思うので、まだまだ駆け出しな感じです」

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「マイティ・ソー」への出演はもちろん「モンゴル」がきっかけだが、そこに至るまでの経験があったからこそ、自分自身を冷静に見つめ将来が見据えられるのだろう。当然、その過程には成功だけではなく反省すべきこともあった。「ただ、そういう間違いからの一歩一歩すべてが、今となってはありがたいです」という言葉にも実感がこもる。

「マイティ・ソー」は全米で1億7600万ドルを超える大ヒットとなり、「僕が(子どものころ)海外の映画を見たときに、男の主人公は40代が多かった気がする。だから、(ハリウッド進出の時期は)ちょうど良かったと思う」という37歳の浅野にとっては絶好のデビューとなった。その言葉通り、その後もリーアム・ニーソンと共演の「バトルシップ」の撮影を終え、現在はキアヌ・リーヴス主演の「47RONIN」の撮影がロンドンで進行中と、着実にハリウッドでの地歩を固めている。渡辺謙や「47RONIN」で共演している真田広之ら先達、同じ事務所の後輩・菊地凛子らの活躍も刺激になっており、さらなる躍進が期待される。タッドの輝ける10年をつぶさに追っていきたい。

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