劇場公開日 2010年8月7日

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ヒックとドラゴン : インタビュー

2010年8月3日更新

大ヒットファンタジー「リロ&スティッチ」から8年。ディズニーからドリームワークスへと活動拠点を移したクリス・サンダース監督とディーン・デュボア監督の最新作「ヒックとドラゴン」が8月7日から公開。全米で大ヒットを記録し、早くも続編製作が決定した同作について両監督を直撃。初挑戦となった3D映像や作劇へのこだわり、そしてジブリアニメからの影響などを語ってもらった。(取材・文:平井万里子)

クリス・サンダース&ディーン・デュボア監督が明かす、ジブリ映画に受けた影響

全米興収2億ドルを超える大ヒットのほか、批評面でも高い評価を受けた一作
全米興収2億ドルを超える大ヒットのほか、批評面でも高い評価を受けた一作
自然な光の加減は名カメラマン、 ロジャー・ディーキンスの助言によるもの
自然な光の加減は名カメラマン、 ロジャー・ディーキンスの助言によるもの

2人にとって初めてのCGアニメであり、同時に初めてのデジタル3D映画となった同作。デュボア監督は、「遊園地みたいな飛び出す3D映像にはしたくなかった。ストーリーから気持ちが離れてしまうからね。ドラゴンの飛翔シーンとか、観客が思わず画面に引き込まれるような3Dを心がけた」とこだわりを明かす。「それ以外にも、撮影アドバイザーにロジャー・ディーキンス(『ショーシャンクの空に』『レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで』などで知られる実写撮影監督)を招いて、自然光を意識した撮影に取り組んだ。そのおかげで、大自然の風景から毛皮や髪の毛の質感に至るまで、実写映画のような味わいも楽しめるんだ」

大人も納得する物語を作り上げた デュボア監督(左)とサンダース監督(右)
大人も納得する物語を作り上げた デュボア監督(左)とサンダース監督(右)

バイキングとドラゴンが敵対する世界を舞台に、弱虫のバイキングの少年ヒックと傷ついたドラゴンの交流を描いたストーリー。サンダース監督は、「ストーリーは極力シンプルにしたかった」と振り返る。「物語がシンプルな分、それぞれのキャラクターの深みを追うことができる。例えば、島で一番有名なバイキングの父親と、そんな父に認められたい息子ヒックの微妙な関係とかね。僕らは自分たちが楽しめる映画を作りたいと思っている。この作品も決して子ども向けというわけじゃないんだ。大人でも充分楽しめるテーマだと思うよ」。その言葉を裏付けるかのように、ラストには従来の子ども向けアニメにはない、シリアスな展開も待ち受けている。

大人でも楽しめるアニメ映画と言えば、日本ではジブリアニメが有名だが、2人とも生粋のジブリファン。「『リロ&スティッチ』のリロとエイリアンの言葉を介さない交流は、『となりのトトロ』からの影響さ。今回でいえば、子どもたちがドラゴンに乗って飛ぶ姿は『紅の豚』の飛行シーンを参考にした」(デュボア監督)、「ヒックがドラゴンに手作りの羽をつけて、何度も飛ぼうとして失敗してしまうシーンは、『魔女の宅急便』でキキがほうきに乗って飛ぶ場面から影響を受けた。再びドラゴンが飛べるようになるまでを、たっぷり時間をかけて描くことで、観客が目の前で起きていることを信じられるような展開にしたんだ」(サンダース監督)と、ジブリ作品の名前が次々に飛び出してきた。

禁じられた友情を温めていくヒックとトゥース
禁じられた友情を温めていくヒックとトゥース

映画のキーワードは「秘密の友情」。長年コンビを組んできた2人にとって、互いに秘密はあるか聞いてみると「仕事でいつも顔を合わせてるから、私生活は知らないんだ。秘密がある方が、映画作りにもいい影響を及ぼしていると思う。クリスは砂漠や鉱山とかアウトドアを楽しむのが好きだけど、僕は暑いのがダメで。その代わり、趣味の映画作りでアイスランドに行ったときは寒さを堪能したよ!」とデュボア監督。そして、サンダース監督も「そういえば、前に動物園に一緒に行ったとき、僕はライオンやトラ、デュボアはペンギンを見ていたしね(笑)。まったく対象的さ」と笑う。

目を輝かせながら、趣味の話に興じる2人。大人になっても少年のような心で人生を楽しむスタンスこそが、彼らのモノづくりへの原動力になっているのかもしれない。

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