劇場公開日 2009年4月18日

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「本作は甘さと苦さがチョットアンバランスなんです。演出過剰気味。影の主役は、スイーツたち。これが見ているだけで口福感をそそられてしまいました。」アンティーク 西洋骨董洋菓子店 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5本作は甘さと苦さがチョットアンバランスなんです。演出過剰気味。影の主役は、スイーツたち。これが見ているだけで口福感をそそられてしまいました。

2009年4月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 ヒット漫画だけに原作やドラマのファンも多いことでしょう。細かいストーリーの説明は省略します。小地蔵はフジテレビのアニメ版を見ていました。

 劇場版は、韓国で記録的ヒットしたそうです。まずはチェ・ジフンを始め、イケメン俳優を並べているところでは、日本で言えば『花より男子』的なヒット要因があると思います。
 但しキャスト的な魅力だけでなく、原作の持つポジティブなメッセージをよく描かれていて、見終わったあとさわやかな感動に包まれることもポイントでしょう。

 「人は幸せな時に、ケーキを食べる。
  ほろ苦い人生を少しでも甘くさせるために-。」

 冒頭とラストに、このメッセージがタイトルされるとき、本当にそうだなぁって共感させられました。
 それだけに影の主役は、『アンティーク』のスイーツたち。これが見ているだけで幸福感(食欲という低級なものではない!)をそそられてしまうものばかり。甘党の人なら、うっとりすることでしょう。オープニングから、オシャレなスイーツのオンパレード。これはたまりません。
 けれども、スイーツと被って、男性が首つりを失敗するシーンが重なります。幸せになるスイーツの話なのに、なぜ?と思いました。それが本作の影の部分に繋がっていたのでした。

 次の主役は、『アンティーク』のオーナーを始め、4人のスタッフたち。それぞれキャラが立っていて、面白いです。
 中でもキイマンは、天才パテシエのソヌ。彼の秘密は、ゲイなんですね。しかも魔性のゲイと呼ばれていて、困ったことに飽きやすい。だから店にきた男子に次々手を出しては追い出してしまうので、オーナーのジニョクは、悩んでいました。
 ソヌはメガネをかけてスイーツに取り組んでいるときは、パテシエの貫禄を見せますが、夜メガネを取って、クラブへ出かけると豹変し、魔性の片鱗を見せつけます。
 ソヌの元愛人も登場しますが、同日公開の『ミルク』と違って、ゲイの描写は控えめでキスシーンくらい。演じているキム・ジェウクの表現力に圧倒させます。彼が演じるとゲイですら、変態に見えずどこまでもロマンチックに見えるから不思議です。

 そんなソヌの魔性が及ばないのが、ストレートのジニョク。3年前の高校卒業時に、ソヌはジニョク告白して、振られました。偶然再会して、オーナーとスタッフという関係になって以来ソヌは、ジニョクに再び思いを寄せていたのだと思います。
 そんなふたりの関係がラブコメ風に描かれていて、可笑しかったです。特にソヌが引き抜きにあったとき、思い詰めたジニョクが寝てもいいと無理して言うところが滑稽でした。コメディとしては、『チャーリーとチョコレート工場』を彷彿されるオーバーな演出部分もあり、笑いをとろうと頑張っているところが見て取れます。しかし、わざと過ぎてしらける感じもしました。

 さらに、本作の影の部分として描かれるのが、ジニョクのトラウマ。ケーキを食べても過去の忌まわしい思い出が蘇り、幸せになれない存在がジニョクだったのです。
 それはかつて子供時代に誘拐事件にあったことでした。その時強制的に食べさせられたケーキの思い出がたたって、ケーキを食べると吐き気を催すようになっていたのです。
 このトラウマと現在起こっている誘拐事件の解決するところでは、ラブコメから、一転してシリアスな心理ミステリーに変わります。
 但し筋の整理の仕方が良くなく、事件と真相のあらましがよく掴められませんでした。
 このように、本作は甘さと苦さがチョットアンバランスなんです。演出過剰気味だと思います。もう少しじっくりと描いたら、もっと感動が深まっただろうと思いました。

流山の小地蔵