劇場公開日 2009年11月20日

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「途中で席を立った人が一人…」イングロリアス・バスターズ kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0途中で席を立った人が一人…

2019年2月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 「面白さタランかったら全額返金しバスターズ」などというワケのわからん企画のためにタラ映画の品位を落としてしまったのではないかと心配になってしまった本作。5章立ての構成ながらも時系列通りの進行となっていて、理解しやすい戦争映画だった。もちろんタランティーノらしく残虐シーンはあるものの、彼にとって初の戦争映画ということもあり、切り口が絶妙なうえに史実を無視するぶっ飛んだ内容でもある。

 ソ連が崩壊してからは、アメリカ産の映画に登場する“敵”はテロリストもしくは依然としてナチ。またしてもナチを徹底的に悪者扱いする映画かと危惧していたが、そうではないようだ。なにしろナチ狩りを繰り返し、頭の皮を剥ぐという、レイン中尉(ブラッド・ピット)率いる“イングロリアス・バスターズ”が主役なのだ。むしろ、ナチによるユダヤ人狩りという蛮行は第1章にしか登場しないし、連合軍の行為の方が残酷に思えるくらいなのだ。ブラピもそうだし、ドイツ側ではツォラー兵士(ダニエル・ブリュール)を敵兵数百人殺した英雄に配するなど、甘いマスクの人気俳優に残虐性を持たせるキャスティングがニクいところだ。

 気合いが入ってるなぁと感じさせるのは、フランス語、ドイツ語、英語、そしてコミカルな使われ方だったイタリア語と、異言語間における絶妙な会話。スパイやゲリラなど、戦争映画に不可欠な多言語によるスリリングなコミュニケーションは大変面白い。方言のアクセント、「グラス3つ」などといった民族の習慣、見破られるんじゃないかとハラハラさせられるシーンは見どころの一つです。それらを見事にまとめていたのが4ヶ国語を巧みに話すナチス側のハンス・ランダ大佐(クリストフ・ヴァルツ)。関係のない話題からネチネチと攻め、見抜いてしまうテクニックは空恐ろしいものがあった。カンヌでも男優賞を獲得したようだし、いい俳優ですね・・・

 クライマックスはヒトラーも参加するという、映画館でのプレミア上映会。復讐を果たそうとする映画館女主人のショシャナ(メラニー・ロラン)と恋人のマルセル(ジャッキー・イド)。そこへ横恋慕するツォラーが絡んできて・・・と緊迫感溢れる展開となっています。バスターズはちょっとおマヌな活躍でしたが、スクリーンに映し出されるショシャナが最高!

 他にはダイアン・クルーガーやイーライ・ロス、それにティル・シュヴァイガーがいい味出してました。ナレーションがサミュエル・L・ジャクソンだとは気付かなかった。それに通訳の女性が『キル・ビル』でも通訳してたソフィア(ジュリー・ドレフェス)だったとは・・・

kossy
しゅうへいさんのコメント
2019年9月6日

kossyさん、こんばんは。
実を言うと、本作がタランティーノ初体験でした。面白過ぎました(笑)

しゅうへい