劇場公開日 2010年12月11日

「Kiko Mizuharaって美しいな。」ノルウェイの森 leosoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5Kiko Mizuharaって美しいな。

2014年9月19日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

難しい

原作を読んだ時、TSUBAKIのCMで見かけたモデルの風貌を完全に当てはめていた。
水原希子。
映画ノルウェイの森のキャスティングを知った時、ボクのイメージと一致していたことでなんだか陽気になった。
それが観ようと思ったきっかけ。

彼女、美しいね。ボクは大好きだ。
ミドリって女性も大好きだ。長い独白は格好がつくし、CANのShe Brings The Rainがかかるレコード店なんて喋らなくたって蠱惑的だ。

でも、ボクはミドリがそんな子だってことを原作読んでいたときからわかってるんだ。つまり希子は、すげぇ納得して観れたんだ。ところどころクエスチョンマークが頭に浮かびはしたけれど、概ね会心の演技だったと思う。

残念ながら、ミドリが登場してくるまでの何分間かは苦痛だった。松山ケンイチ君は、ボクの思った僕(ワタナベ君)と微かに、でも致命的にずれていた。表情が、違かった。挙動のどれをとっても、違う気がした。なんて酷い映画だ、春樹への冒涜だ、とすら思った。

ただそれは思い直す。
ボクはしっかりと最後までこの映画を見通したし、その苦痛は今はない(ような気がする)。
ミドリという女性が現れて歯車が動き出した感じだろうか。
あまりに感傷的な世界に唯一ボクらを繋ぎ止めてくれたのがミドリだった。そう、だから彼女がいなければ世界はもっと感傷的になってしまっていたはずだ。(彼女、登場したての頃はセンチメンタルなかっこつけみたいなのをしてたからボクは鼻持ちならない気分だったけどね、段々よくなった)。
だから、そういった点でミドリが登場するまでのシーンもあれで悪くはないんだよね、多分。

ほかの方のレビューを眺めさせてもらって気がついたことがある。ボクは今17だからもちろん60年代70年代は生きてないし、当時の学生が吸っていた空気の味なんて知りもしない。ボクはあくまでボクが知る世界の中でしか春樹の作品を読むことはできないんだな。もっと早く気がついてもいいようなことだけれど、今更気がついたボクにはちょっとしたショックだった。

けれどもこの作品を様々に解釈する人がいて、そこに大きな年代の幅があって、こうしてボクはボクの見ていた春樹ではない春樹を眺める術を手に入れることができたわけでもある。「ボクは本質的に楽天的な人間なんだよ。」なんてね。

そういった点で、春樹の作品を監督のもちうる感性で表現しきるというのは、たくさんの批評が寄せられるだけいいことなのだと思う。

補記:まぁ原作読まないと全くわからなさそうなのはいかんかなぁと。

leoso