「ANGUS, THONGS AND PERFECT SNOGGING」ジョージアの日記 ゆーうつでキラキラな毎日 いきいきさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ANGUS, THONGS AND PERFECT SNOGGING

2008年11月6日

笑える

楽しい



 アンガスが「僕を見なさいよ」と言っているみたい。

 舞台はイギリスのビーチリゾートである、ブライトン。
 14歳の女の子ジョージア(ジョージア・グルーム)は
 木星みたいにデカい鼻と家族、
 石器時代並みに頭の固い両親の父ボブ(アラン・デイビス)、
 母コニー(カレン・テイラー)、ヘンな妹リビー(エヴァ・ドリュー)、
 そして、ちょっと気性の荒い猫のアンガスに悩まされながらも、
 学校の仲良しジャス(エレノア・トムリンソン)、
 エレン(マンジーヴェン・グレウォル)、ロージー(ジョージア・ヘンショウ)
 の4人組で大騒ぎの楽しい毎日を送る恋に恋する女の子。
 そんな彼女の今の目標は、大人っぽくて最高にクールなクラブで
 誕生パーティーを開くということ。
 そんなある日、まるで理想を絵にしたような転校生
 イケメンで二卵性双生児のロビー(アーロン・ジョンソン)と
 トム(ショーン・ボーク)が現れ、ジョージアはロビーに一目惚れ。
 しかし、学校で一番のビッチだと思ってる
 巨乳のリンジー(キンバリー・ニクソン)と
 ロビーがデートしているのを目撃してしまう。
 勝ち目がないと思いつつも友人たちの力を借り、
 打倒リンジーに燃えるジョージアは、ピーター(リアム・ヘス)の
“完璧なキス講座”を経て達人の称号を獲得し、
 猫好きだと知ったロビーの気を惹くために“アンガス行方不明事件”
 をでっち上げ、ジョージアとロビーの距離はグッと縮まるのだが…。

 未見の“ベッカムに恋して”のイギリス人女性監督グリンダ・チャーダが、
 ベストセラーシリーズだという、“ジョージアの青春日記”を映画化。
 自分の容姿にコンプレックスを持ちながらも、
 理想の彼氏をゲットしようと元気で前向きに、
 でも、恋愛になると失敗を繰り返す。
 その愛すべきダメっぷりは、
 オッサンでも共感できるキャラクターに仕上がっている。

 仮装パーティで友人4人揃ってオードブルになって笑いを取るために、
 オープニングでジョージアは赤ピーマン入りオリーブでの
 派手な着ぐるみ姿で登場し、でも会場に行ってみると、
 友人たちは普通の格好でいたたまれなくなって、その場から逃走し、
 UKサウンドに乗って疾走する。
 いいのか、悪いのか、あんな変な格好で笑いをとろうとする姿に、
 その姿のまま疾走する姿に、可愛いと思っちゃったんだよな。
 だんだん可愛いと思っていかなくちゃ
 作品のテイストとしてはダメなんだろうけど。

 翌日かな?
 学校に行って、おバカな男子たち、ヤンキーな双子姉妹の紹介。
 でも、それっきりで、序盤のこういう紹介は
 のちのち活かすと思っちゃうんだよ。
 ビッチな女と、校長は活かしたけど。
 で、教室に着くといつものように楽しく友人4人で、ポーズを決める。
 裏切られたことなんて忘れちゃう、能天気、いやポジティブなジョージア。

 木星みたいにデカい鼻だろうと、ヘンと思ってる家族だろうと、
 荒れくれ猫のアンガスに悩まされても、ポジティブなジョージアだと、
 思ってたんだけど、そこまで超ポジティブではなかった。
 ストーキングして、ドジっては落ち込んで、
 作戦を立て憧れのロビーの気を惹こうとする。キスの練習も忘れない。
 練習でディープまでやっちゃうんだなぁ。キスの練習はともかくとして、
 その普通さが、超ポジティブではない、落ち込むときは落ち込む、
 でも、悲壮感を感じさせない程度のポジティブな姿勢が、
 共感度は高いでしょうか。

 でも、企てる作戦は可愛らしいと言えば可愛らしい作戦なんだけど、
 姑息に見えなくもなく、だんだんジョージアが可愛くなく見えてくる。
 流れとしてはそれでいいんだけど、そんなジョージアが、もちろん、
 ロビーにも魅力的に映っていくけど、
 ロビーではなく他の男にモテモテ状態なのは、どうなんだろう。
 面白いけどさ。それに、どうして急に登場人物を増やすのだろう。
 どこからともなく現れるということで、人生なんてそんなもんか、
 と思っておこう。

 失敗を繰り返して、両親のこともあるし、
 上手くいきかけていたロビーとも最悪の状態になってしまって、
 ジョージアは心を当然のように入れ替える。
 でも、まだ見た目も気にするところは、ご愛嬌か。
 しかし、その後のラストに向けての展開には、
 ちょっと出来すぎだろうと思ってしまう。笑いを取って、ノリのいい曲で、
 誤魔化されたよう。もう少しは決心し自己改革する姿を、
 周りから見ても変わっていくジョージアを描いてくれてもよかったかな。

 十分笑わせようとしてる部分は笑えたし、
 作品を考えると何故か年齢層の高めな会場のウケも
 それなりによかったと思う。
 それは高めなのがよかったのかもしれないし、
 高校生ぐらいだと冷めた目でウケないのかもしれないし、
 日本だと懐かしいと思える年齢か、小中学生ぐらいの方が、
 ウケはいいのかもしれない。

 ジョージア役のジョージア・グルームはそれなりに魅力的だったし、
 両親役のアラン・デイビスも、カレン・テイラーも笑わせてくれたし、
 ジャス役のエレノア・トムリンソンの
 有頂天で人の話を聞かない部分も面白かったし、
 エレン役のマンジーヴェン・グレウォルの空気を読まない発言も、
 ちょっとオーバーアクトな表情も楽しかった。
 でも、やっぱり猫のアンガスでしょう。

 邦題は“ジョージアの日記”で、
 原作も“ブリジット・ジョーンズの日記”を意識したのは明白で、
 妹版としての位置づけも分かる。
 日記は登場しないけど、当時は何もかもが重大で、大問題で、
 悩んでいたけど、後から思い返すと、笑って話せるような、
 作品自体が日記と捉えることも出来るでしょう。
 しかし、原題は“ANGUS, THONGS AND PERFECT SNOGGING”で、
 後ろの二つはジョージアたちの憧れのアイテムなTバックと、
 憧れの完璧なキス。その前に猫のアンガスなわけです。

 ロビーの気を惹くためにアンガスを利用する。
 でも、タイトルに入れるくらいだから、
 それだけじゃないんじゃないかなぁと。
 妹は天使の微笑でアンガスをおもちゃのように扱って、
 着せ替え人形状態でも、暴れるわけでもなくコチラを見つめる。
 しかし、結果的には少しは役立つわけですが、
 ジョージアに利用されようとする時には、逃げ回ったりする。
 アンガスはジョージアに自分の姿を見て、
 感じて欲しいと思っていたように思える。
 ジョージアは見た目ばかり気にしてるけど、
 こんなに着飾った猫を見てどう思うんだと。
 もしくは、飼い猫として生きていくには、
 飼い猫という自分の立場を受け入れて、自分らしく生きていくんだと。
 ジョージアも見習ってみてはと。

 そんなことを思ったわけですが、同年代の恋に悩むティーンたちにも、
 懐かしむ年代の方にも、スターが出演するような派手さはないけど、
 ゲイやレズネタが出てきても、それをゴリ押しするような
 ハリウッド作品とは違うUK作品、UKサウンドを楽しんでいただきたい。

いきいき