劇場公開日 2009年2月7日

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「有り得ない・・・」ヘブンズ・ドア にゃらんさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0有り得ない・・・

2009年3月4日
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単純

この映画はオリジナルとは似て非なるものです。

だいたいこのストーリー自体日本の湿度、質感、宗教観、倫理観的に絶対に有り得ないものです。ファンタジーにもなっていないし。

この映画に欠かせない要素はヨーロッパの「一週間もいたら20代でもすぐに皺が出来てしまうドライな気候」「内陸にに住んでいたら海を見たことがない人がゴロゴロいる大陸」「ちょっと敬虔とは言いがたいけど皆が肌で馴染んでいるキリスト教の思想」です。

オリジナルはヨーロッパの気候がこの映画のドライ感と重なって、一つ間違えばジメジメしてしまいがちな設定をポップな魅力に変えています。

でもこの日本版は日本の湿度そのままにジメジメでまるで失敗しちゃったてんぷらのようでした。
喰えたものじゃない・・・

そして何よりの失敗は、制作側がこの映画のオリジナルの良い所を全く理解していなかったのではないかと思われるところです。

この映画は海へ行く道=天国の門への道なんです。

「ちょっと敬虔とは言いがたいけど皆が肌で馴染んでいるキリスト教の思想」があるからです。
ですからオリジナルではあんなに銃を発砲しても誰も殺さないし、死にません。
そして誰も損をしないんですよ。
でないとあの二人が天国の門をくぐれないからです。

だからガソリンスタンドにも銀行にもお金を返しているし、残りのお金はほとんど人にプレゼントをしたり、寄付をしたりしてるんです。

欧米では成功者は必ず多額の寄付をしますが、これは皆どこかに天国への門をくぐりたい、それには施しをして善行を積みたいという気持ちがあるからでとても一般的です。
これは日本にはない宗教観というか思想なんです。
ですから日本は国単位では多額の援助をしますが災害時以外、普通の時に多額の寄付を普通にすることは、個人ではなかなかありません。

ラストにギャングのボスが黙って2人をそのまま海に行かせるのもそういう意味合いです。『天国へ行こうとしている者たち』を止めたり殺したりしたら、ボスは天国に行けないじゃないし、お金も寄付して善行を積んだと思えばなんてことはないんです。
自分も天国の門をくぐりたいですからね。
お金は使われてしまったけれど、そういう意味で彼も損はしないんです。

そして海にたどり着けた=天国の門にたどり着けたということなるんです。

なのに日本版では人が死んじゃってるし、お金返してないし、これじゃあ、ただ人に迷惑をかけるだけかけて、ただ本当に海を見に行っただけじゃないですか。

しかもこんなの日本の倫理観では有り得ないし・・・

もちろん日本は島国なので「海を見たことがない人」となると、特殊な設定になってしまうのは判ります。
でもオリジナルのキャラクターをなぞるような配役だったのですから、ここは女の子に逃げないでチャーミングな男性を持ってくるべきでした。
でないと、「誘拐は嘘」でも子供を連れまわすとなるとそれは法律的にもりっぱな犯罪だし、人としてもどうかと。
だからオリジナルでは大人の男性なんですよ。
だって「誘拐が狂言」なら大人同士なんの問題もないですもん。

ストーリー以外の演出も安っぽいし、
出演者の方が気の毒になる場面もありました。

2時間ドラマでもきついです。

どこをどうしたら良かったというよりも
作らなければ良かったんじゃないかと思える一本です。

にゃらん