劇場公開日 2009年9月19日

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カムイ外伝 : 映画評論・批評

2009年9月15日更新

2009年9月19日より丸の内ピカデリーほかにてロードショー

激しい動きで小手先の演技を封じられた松山ケンイチの一生懸命さに好感

1964年に連載がスタートした白土三平の壮大な長編「カムイ伝」と翌年に誕生した番外編「カムイ外伝」は、階級社会や身分差別の理不尽を追及した忍者コミックだった。バリケードの中で漫画誌を回し読みした全共闘世代にとっては、挫折感を伴った懐かしさが蘇ってくる。骨っぽい崔洋一監督にふさわしいテーマだと思った。共同脚本が宮藤官九郎なので突飛なストーリーになることを危惧したが、「カムイ外伝」の中の「スガルの島」編をほぼ忠実に映画化している。

忍者の掟を破って抜忍になったカムイは、かつての仲間と死闘を繰り広げる。忍者映画の醍醐味ともいえる技の数々をもっと見たかった。実写だから可能な肉体の躍動感を捉えた映像がとてもいい。小雪が演じるスガルも同じ抜忍だし、本当の敵を見分けにくい緊張感が最後までドラマを牽引している。渡り衆とサメ退治をするシーンなどはどう見てもCGなので違和感が残る。だがアクションと人間ドラマのバランスが取れ、無駄なショット(カット)がほとんどない。

この作品は白土三平の歴史観や悲惨な物語をどう解釈するかで評価が分かれるだろう。激しい動きで小手先の演技を封じられた松山ケンイチの一生懸命さに好感が持てた。小林薫や小雪もいいし、憎まれ役の不動を演じる伊藤英明の存在感が期待以上に際立っている。逃亡者の宿命を背負ったカムイが生き残るには、己が強くなるしか道がない。つかの間の安息と愛する人たちを失ったカムイの絶望的な孤独感が胸に迫ってきた。

(垣井道弘)

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