劇場公開日 2008年1月26日

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「昭和のお母さん。」母べえ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5昭和のお母さん。

2008年2月5日

泣ける

笑える

悲しい

山田洋次が「寅さん」に帰ってきたような気がしました。
やはりこの監督は、庶民の家族劇を上手に描けるヒトです。
吉永小百合を使ったことが成功の要因。かもしれないけど
キャストにもかなり恵まれてましたねぇ。
今回は人選間違えてないな、と^m^
静かで凡庸な生活の賛歌と、愚かな国家讃美や戦争の悲惨さ、
当時の一般庶民が、どんな扱いを受けていたのかも実感できる。

長年、黒澤映画のスクリプターとして活躍してきた野上照代が、
両親への鎮魂を込めて綴った名作「父へのレクイエム」を改題。
彼女は劇中「照べえ」として(子役が可愛い)愛らしさを振り撒き、
母べえ、父べえ、姉の初べえと共に…いや、忘れてはならない
我らが山ちゃん!(浅野忠信・会心の演技)、チャコ姉さんと共に、
暗く辛い戦中時代の中を、かくも明るく笑顔いっぱいに過ごした
家族の軌跡を見事にスクリーンに描き出しています。

母さん、という歌の中にも出てくる夜なべをするお母さん。
昭和の母親像を演じられる女優さんも少なくなりましたね…。
吉永小百合は劇中で30代の母親を演じていますが(!)違和感ゼロ。
見た目にも凄いことだけど(爆)本当に違和感がありませんでした。
山ちゃんがほのかに想いをよせる気持ちも分かる…!^^;だけど
芯は強く決して正義を曲げない。実の父親に勘当されても平気。
こういう強さを醸し出せる女優も、もはや彼女くらいか…^^;
なにしろ「母べえ」ありき。そして陰に日向に彼ら一家を支えた
山ちゃんありき!(鶴瓶も上手かった!)の作品だったのです。。。

出てくるキャラクターがすべて、それぞれに魅力的。
あぁ~いるよねぇ、こういうおじさん。いるよねぇ、おばさん。
そうそう、そうやって遊んだよね。親のいうことは絶対だった。
そりゃ~カステラを食べたいわな。肉だって食べたいさ。
…と、私とは○十年も違う時代のハナシなのに(爆)妙に親近感^^;
唯一我が家と違うのは、父べえを尊敬していたところかな(爆)

物語(特に戦争が色濃くなる後半)の展開は辛いながらも、
一貫して庶民を同目線のカメラで捉える姿勢は、変わらず温かい。
自分が歳をとって初めて「あぁ母親はこの時こんな風だったんだ」
そう感じるようになった私自身、豊かな時代に生きていることを
つい忘れがちになります。でも今作を観て思うのは、やっぱり、
家族っていいな。母べえが守ったものを自分も守らなきゃだよな。
そんな風に素直に思えるから、やはり寅さん映画は永遠なのだ。^m^

(しかしどうして「べえ」なのか。じゃあ八兵衛は?とかいって^^;)

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ハチコ