劇場公開日 2008年7月5日

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「あくまで、タツノコプロ『マッハGOGOGO』の基本を忠実に踏襲したリメイクです。」スピード・レーサー とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5あくまで、タツノコプロ『マッハGOGOGO』の基本を忠実に踏襲したリメイクです。

2022年6月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

単純

  目がチカチカする映像が続きますので、視聴環境にはご注意ください。

ミニカーが、ベイブレードする。スケートボードする。『トップガン』のような戦闘機技をする。ワイヤーアクションもする。スキーする。
 これは、車じゃなくて、手裏剣だっけ?ロボット物だっけ?と自己認知を確認する。

 所謂、レーズ映画としてみると、なんじゃ、こりゃになる。マシンの重量感なし。レースとしての駆け引きなし。「こりゃ、前見ろ、前!!」と言いたくなるようなシーン満載。
 氷の上はまだありとして、砂の上、その仕様で走れるんか~い!とツッコミどころ満載。しかも乱闘しているし。

観る人を選ぶ。ハマる人はハマるし、受け付けない人は受け付けない。呆れる人は呆れる。

 クリオ・三平コンビ(弟とチンパンジー)が原作通り。
 シュンシュンという音が響く。
 主題歌を基にしたテーマ曲。
 それだけで、テンション上がる人なら楽しめる。

極彩色、光の洪水。CG、アニメ風のコマ展開…アメコミの世界。
 奇想天外過ぎて、もう何でも「有り」になってくる。ゲームセンターやバーチャル空間、TDLのアトラクションに放り込まれた感じ。レゴムービーならぬ、ミニカームービーだっけ?みたいなチープな場面。かえってそれ狙った?という感じ。

レース展開は、妨害してでも1位になればOKという『チキチキマシン猛レース』の如く。
 妨害キャラを観れば、いるいる、ブラック大魔王、ミルクちゃん…。で、我らが主人公が反撃する技は、あったあった『マッハGOGOGO』でもあったと手を叩きたくなる。

お子様向けに作った作品。ストーリーはある意味ベタ、わかりやすい。株の利益が絡んでくるのはUSAだなあ。
 画が、これでもかという位うるさいので、ストーリーがシンプルなのは嬉しい。
 とはいえ、日本企業らしい人や忍者が絡む展開はなくても良かったんじゃないか。間延びする。忍者より、レスラーの方が強いというのはUSAだなあ。
 家族愛がベースなんだから、ミスターXとのからみをもうちょっと見せてくれたらなあ。それこそ、不在の家族を追い求めるテーマ、原作者の吉田氏が繰り返し表現したテーマなのだから(『ガッチャマン』での大鷲のケン、『みなしごハッチ』のハッチ)。

若い二人もGOGOGOで、キスも…巧妙に見せない。その展開は笑った。さすがお子様映画。一緒に観に行った親が苦笑しそう。

個人的に嬉しかったのは、クリオ・三平コンビが原作そのまんま。よくぞこういうキャラに。
 お母さんもよかったですね。サランドンさん。『キング・オブ・マンハッタン』でも、印象に残る役をされていたけれど、このような役もなさるんですね。
 恋人役のリッチさんもハマってました。『モンスター』でセルビーやっていた方。でもこの映画ではかわいくてかっこいい。
 主人公役のハーシュ氏。『ミルク』とも違う。
 総じて、レーサー家の人々はキャラがしっかりしていて、厳しくも思いやる家族の姿にほっこりする。
 反対に、悪役キャラが、ひねくりすぎてグダグダ。全然魅力的でない。(Rain(ピ)氏への評価を別にしてもね)㊟
 その中でも、真田さんは無駄使いで残念。真田さん演じる役が、主人公の優勝を阻止するライバルだと思っていた。
 かつ、観衆の演技も見もの。実際のレースを見て興奮している様。彼らの反応があるから、レースに熱くなれる。

原作が大好きで、おもいっきりリスペクトしてくださっているけど、原作を元に作り変えた作品。
原作の忠実な映画化、本物のカーレースを期待するとがっかりする。
おもちゃの世界を楽しめる方にははまるかも。

㊟)公開当時は、Rain(ピ)氏への評判が悪くて…。「世界で一番…」の投票に組織票で順位を上げた疑惑とか、この映画の役でも、日本人役を無理矢理韓国人役にするよう掛け合ったのは良いのだけれど、家族との名前の整合性がなくなったとか。悪役キャラのグダグダさは、彼がいろいろ自分の嗜好を押し付けて口出ししたせいじゃないかと思ってしまうほど。彼を理由にこの映画の評価を下げていた人もいたなあ。
 トム様が『トップガン マーヴェリック』でパウエル氏を説得したように、映画全体を考えなくてはね。自分のことばかりではなくて。

とみいじょん