劇場公開日 2010年3月19日

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「豪華でゴージャスなMV。」NINE とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5豪華でゴージャスなMV。

2020年5月22日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

単純

興奮

萌える

一幕一幕はものすごい。
 ペネロペさんだけじゃなく、ディンチさんやコティヤールさん、デイ=ルイス氏も歌う。
 各楽曲の中でも、『Be Italian』と『Cinema Italiano』が出色。

役者もそれぞれ切り取るとぞくぞくする。
 ペネロぺさんの依存的で自己中なダメ女ぶり。周りにいたら迷惑女だけど、なんてかわいらしい。ホテルからの帰り道の場面。やりきれなさ、情けなさ、でも恋しさ。切なすぎます。でも別れられないんだよねぇ、はぁ。
 コディヤールさんの、幻想が打ち破られた時のあの表情。ぐっとくる。
 ”女神”に祭り上げられたキッドマンさんは痛いかな。キャバレー嬢のようだ。だから「神じゃなくて人間よ」と歌われてもしっくりこない。最初にキャスティングされたゼダ=ジョーンズさんだったら、エジプトの女神アイリスのようだったんじゃないかなと惜しい。
 それに比べて、やっぱりローレンさんの存在感にはひれ伏す。全部持っていかれてしまうから、サラギーナからのイニシエーションが意味をなさない(ダンスと歌は最高なのに!)。
 そして、デイ=ルイス氏の叫びに圧倒される。

テーマも、アカデミー賞が好きそうな、産みの苦しみ。
周りも、自分も傷つける。

だのに、それを並べるとなんでこうなるかなあ。

チャプター機能を使って、お気に入りの場面を繰り返し見た方がよさそうだ。

原案とされる『8 1/2』は、今も名作と名高い名作中の名作を次々産み出した監督が、自身を投影したと言われる映画。心の中を映像化した”夢(寝ているときに見る方)”のようで、話がどこへ行くかハラハラしつつ興味が尽きない。変なタイトルは、8作映画を作って、9作目をとる間(の苦しみ・ドタバタ)という意味と聞く。
 人の頭の中を、他人がかき回すとこうなるのか…。
 『8 1/2』の主演は『ひまわり』等のマストロヤンニ氏。ローレンさんとかとのラブコメも得意な二枚目中の二枚目。そんな人たらしの方が右往左往するからダメ男でもつい許してしまうのだけれど。
 デイ=ルイス氏だと、重いかな。こちらも、最初にキャスティングされたバルデム氏だったらどうだったんだろう。
 でも、やっぱりこの映画の監督だと同じかな。舞台は未鑑賞。舞台の、原案への解釈がこうなのか、監督の解釈がこうなのか…。題名の意味も変わっちゃっている。残念。
 ミュージカル好きなのに…。

とみいじょん