劇場公開日 2009年1月24日

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「良くできており面白い しかし爽快感はなく閉塞感が漂う」007 慰めの報酬 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0良くできており面白い しかし爽快感はなく閉塞感が漂う

2019年5月5日
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前作の続編になるが単独でも観ることは可能
しかし、なぜそのような会話になるのかなどはやはり前作が前提になるからやはり前作を先に観た方が良い

前作より一層ハードさを増した
大変に素晴らしいスパイアクション映画だし、ダニエル・クレイグも素晴らしい
シナリオも良く出来ている
アクションだって007映画伝統のボートアクションも出てくる
けれども007映画に求める爽快感は得られない
そこが残念な点になる
見終わった後の爽快感を求めて007の映画を観に来た客はおいてけぼりになるのだ

前作の続編としての復讐潭が基本構造に成っているのだが、それがあやふやな結果となるからそれは当たり前なのだがそれだけが原因ではない

ジェームズ・ボンドは現代人だ
スノッブな育ちではない
しかもMI6本部も冷戦時代の様な予算もなく、先代達の様に五つ星のホテルを本部は手配してくれず、ビジネスホテルに案内される始末だ
五つ星のホテルには勝手に泊まるしかない
五つ星のホテルの素晴らしさは平民のボンドも前作で学んで、突っ張って乗り込んだだけ
タキシードは今作でもまだあまり似合わない
しかしドレスダウンしてのポロシャツ姿は似合う
スーツも英国風トラッドではなく、イタリア製のようなシルエットだ
それなら様になるのだ
第一マティーニを知らないでバーテンが出すがままに飲む男だ
場末のバーでビールを瓶でラッパ飲みする姿が余程似合っている

ポンドの成長物語を意図してるのかも知れない
だから、通常冒頭に挿入されるガンバレルがエンドロールにあるのだろう
つまりこれで漸く彼が本当の007になったという意味だったと思う

確かに老練なスパイに一皮剥けて成長したことは分かる
しかし、冷戦時代のような優雅に経費使い放題のスパイには、彼が今後どう成長しても決してなれはしないのだ
21世紀の現代はそんな世界なのだ
そんな世界はもはや前世紀の遠い過去の話だ
バブル時代に会社の経費で飲み歩いた団塊世代の武勇伝のようなものだ

不況しか知らない我々の世代は憧れはあっても、もうそんな世界はないことを知っている
そこに本作の閉塞感があるのではないだろうか
次回作はその点が課題になるのではないか?
如何に現代に憧れのヒーロー、ジェームズ・ボンドを蘇らせるのかだ

主題歌のアリシア・キーズは良い
21世紀の空気感が良くでている
ミュージックビデオは彼女が007のガンバレル風の映像のしつらえに成っており、彼女をそのまま本編に出した方が良かったのにと思うくらいだ

あき240