劇場公開日 2012年4月13日

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「以外に面白かった」ジョン・カーター HITOMIさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0以外に面白かった

2012年5月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

”ウォルト・ディズニー生誕110周年記念の超大作「ジョン・カーター」が、映画史上最も興行赤字の大きい作品になる可能性が出てきた。”

以上、アメリカでは、興行的に人気がなくて記録的な赤字のようです。
日本でも、「ジョン・カーター」っていう題名からして魅力は感じず、観たいという気が失せます。

でもどうして、観たかと言えば、原作が面白かったから。
原作を読んだイメージとは大分違っていて残念だったけど、原作はマンガでなく小説だから、監督のイメージと他の読者のイメージとが違っていても、それは仕方がないでしょう。
興行的に悪いって聞いていたので、期待してませんでした。が、観た感想は意外と面白かった。
原作は100年前のものだっていうから、SFの元祖ってことでしょうか。SFのデザインが、今まで観たSFのとダブっているような感じがして、どことなく既視感にあふれ、新鮮味はなかった。空飛ぶ船なんて、飛ぶ音がまったくスターウォーズと同じだったし。観客が驚くようなデザインが出来なかったら、原作はとても古いのだから、かえって原作当時のイメージを利用し古風で新鮮味が感じられるようにした方がよかったのではと思いました。
終わりのほうでは、予想外の展開はあるし、また原作の「火星シリーズ」にふさわしく、続編を感じさせられる広がりがあって、とってもよかったですよ。ただ観客の入りは悪かったようなので、続編はないでしょうけど。
「スターウォーズ」や「アバター」といった名作と比べると、比べようないけど、お金がずいぶんかかってるなーという映像で、贅沢を満喫しました。

またどうして、観客が入らなかったのかなーと思いながら、ずーと観てました。
「ジョン・カーター」のヒロインのプリンセスに「華」がない。でも、「スターウォーズ」の初期の作品の姫も「華」がなかったし、むしろ、原作の「火星のプリンセス」の女性って、現代の女性観と違っているから、より原作には近いかも。
ジョン・カーターが跳躍するシーンは、跳ぶというより、ワイヤーで無理やり引っ張ってバタバタしてるっていう感じで、「スパイダーマン」の跳躍シーンのような丁寧な演出に欠けていました。愛玩動物「ウーラ」の滑るような瞬時の動きが、余りに不自然で、動いているように見えませんでした。「サーン」が次から次へと人姿を変えていくシーンも丁寧な演出がほしいところでした。それから、コンピューターグラフィックスの「サーク族」の造形も、作り込みがいまひとつ。
でも、こんな欠点が、記録的な不興を生むのかしら。映画作りの難しさってことなんでしょうね。

HITOMI