劇場公開日 2009年1月24日

「不満は残るが素晴らしい」誰も守ってくれない スネークさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5不満は残るが素晴らしい

2009年2月25日

悲しい

知的

難しい

凶悪犯罪が後を絶たない昨今!メディアも事件その物を取りあげてはコメンテーターなる人が様々な分析をしては事件の背景を探ってくれる!
しかし、事件後に犯人やその関係者がどのような人生を歩む事になるのか、または歩んだのか?それを報道しようとするメディアは少ない!
私が日々知りたがっていたその後のストーリーを映画化してくれたのはこの上なく嬉しい!しかもその家族の中の妹に焦点を当てるアイデアは素晴らしい!

しかし、少々リアリティに欠ける場面が目立ったのが残念だ!
マスコミ連中の傍若無人ぶりや警察相手にカーチェイスは少々オーバーではないだろうか?警察の人間性に欠ける対応も非現実的だし、監督の思惑が見え透いてしまう。
ネットの炎上も暴力的過ぎてかなり大げさ!恋人の少年が取った裏切り行為は非現実的で理解に苦しむ!
監督の君塚良一氏がテレビ番組でリアルに描けば逆にリアリティが無くなる!オーバーな方がリアルだとコメントしていたが、映画を見た限り甚だ疑問に思ってします。
ただ、非常にデリケートで重い内容だけに短時間の映画では表現しきれないのかもしれないし、一般客はエンターテイメント性を持たせなけれべ喜んで貰えないのかもしれない!
重要なセリフもストレート過ぎて重みがなかったのではないだろうか?
個人的にはもっと深くデリケートな内容にして欲しかったというのが本音だ!

最後に俳優陣だが、主役の佐藤浩市の演技が素晴らしいのは勿論であるが、志田未来の迫真の演技はベテラン勢を凌駕するほど素晴らしかったと思う!まさにこの作品の柱になっていると感じてしまうのは私だけだろうか?松田龍平も良く知らなかったのだが、この作品を見るかぎり個性的でいい役者さんだと感心した。
作品に大きな不満は残るが、それを差し引いても十分に素晴らしいと思える作品であった!
私は君塚良一監督に今後更なる作品に期待せざるを得ない!

スネーク