ノーカントリー インタビュー: ジョエル&イーサン・コーエン監督、メインキャスト インタビュー(2)

ホーム > 作品情報 > 映画「ノーカントリー」 > インタビュー > ジョエル&イーサン・コーエン監督、メインキャスト インタビュー(2)
メニュー

ノーカントリー

劇場公開日 2008年3月15日
2008年3月7日更新

常識を超えた暴力を見せつけられ、諦観と使命感の間で苦しむ老保安官ベルを円熟の演技で体現した名優トミー・リー・ジョーンズ。彼の考える老保安官ベルの心中とは?(編集部)

トミー・リー・ジョーンズ インタビュー
「善はいつも同じ顔であるのに対し、悪は常にその顔を変えるんだ」

老保安官ベルが目撃する荒廃した世界とは? 老保安官ベルが目撃する荒廃した世界とは?

※以下、原作や映画のネタバレを含みますのでご注意ください!

――これまでテキサス人法執行官の役をたくさん演じてこられました。また同じような役を演じることに迷いはなかったですか?

「少し考えたが、大した問題ではなかった。コーマック・マッカーシー原作の映画に出演できるなんて、とても魅力的なオファーだったからね。とりわけ、コーエン兄弟と一緒ではね。実はコーマック・マッカーシーとは知り合いで、僕がサンタフェにいるときはいつも朝食を共にするんだよ。彼は、まさに当代きってのアメリカ最高の小説家だと思う」

諦観と使命感の間で揺れるベル 諦観と使命感の間で揺れるベル

――マッカーシーの作品は映画のようだとよく言われますが、「血と暴力の国」はおそらく最も映画的な作品ではないでしょうか?

「もちろんだ。初めてこの本を読んだ時、脚本の準備稿かと思ったくらいで、コーマックがなぜそんなことをするのか不思議だった。だが、もしこれが脚本の準備稿なら、今まで読んだ中で最高の準備稿だと、思い直したよ」

――物語にある保安官ベルのジレンマについてはどう思いますか。まるで高潔さが廃れた世界で高潔な人間であるべき道を見つけようと葛藤しているかのようです。

「そこが、彼が初めにジレンマと考えているところだ。だが、話が進むにつれ、彼の視野は少し開けてくる。コーマックの原作もこの脚本も映画も、道徳性を考察している。保安官ベルは少し気後れしているんだ。彼は、麻薬が川向こうから入ってくるのを見るのも、我々の子供達に彼らが恐ろしいことをするのにも慣れていないからね。それに麻薬取引の金を巡って時と場所を選ばず殺し合う人間にも慣れていない」

――コーエン兄弟の独創性に惹かれていたそうですが、彼らとの仕事はいかがでしたか?

「彼らは完璧に準備する。クリント・イーストウッドと僕以外で、彼らほど十分に準備する監督がそれほど多くいるかどうかはわからない。ふたりはロケ地に行き、カメラをセットし、俳優をカメラの前に立たせ、カメラのファインダーを覗いてから、いいショットを探すような監督ではないんだ。一日が始まる前に、その日にすべきことを皆十分わかっている。彼らは徹底した準備段階で僕の考えを確認し、僕に関する限り、彼らはリラックスした思いやりのある態度で、すべてのことをきちんとやった。だから、違ったやり方でやろうなんてまったく思わなかった」

善の顔は変わらないが、悪の顔は変貌する 善の顔は変わらないが、悪の顔は変貌する

――あなたが演じる保安官ベルは、世の中を、そして外見的には釣り合いがとれて見えない善と悪の戦いを、懐疑的な目で見ています。この映画を最終的には悲観的な映画だと捉えていますか?

「前にも言った通り、ベルは少し気後れしているんだ。ここで断定できるのは、善はいつも同じ顔であるのに対し、悪は常にその顔を変えるということだ。つまり、保安官ベルの目に映っているものは、変貌する悪の顔なんだ」

――映画の中で、彼の物の見方は変わりますか?

「映画が終盤に向かうころ、彼は叔父に会いに行く。叔父は彼に言う。彼の考え方は虚しく、じつは彼が宇宙の中心にいるわけでもなく、お前だけがそうではないのだと。それから、叔父は人里離れたところに住んでいた自分の叔父の話をする。馬に乗った6人の男が近づいてきて、ポーチでその叔父を撃ち殺し、妻の腕の中で血を流す彼を置き去りにした。僕らには三流西部劇のワンシーンのように聞えるが、もしその日そこに居合わせたなら、悪の正体を見た気持ちだろう。悪の別の顔だというだけだ。それが、この小説の一部であり、この映画の道徳性への考察でもある」

――つまり、“年老いた人間にとっての土地はない”(『原題:No Country for Old Men』の直訳)ということですか。あるいは、悲観的になるのは、単に老いることの一部なのでしょうか?

「僕はこの映画の舞台となった土地のことはよくわかっているし、今までそこで暮らしてきた。そこでとても楽しく暮らしている老人をたくさん知っている。実際、僕ももうすぐ、そんな彼らの仲間入りをしたいと思っているよ」

>>ハビエル・バルデム インタビュー

インタビュー

関連コンテンツ

関連ニュース

関連ニュース

映画評論

眼を凝らせ、耳をそばだてよ。コーエン兄弟の神技が観客に迫る
映画評論

荒野に虚無や寂寥を見る映画は、掃いて捨てるほどある。荒野に抒情を求めた映画も数多い。が、荒野と錬金術を結合させようとした映画が、かつてあったろうか。「ノーカントリー」のコーエン兄弟は、そんな難関に挑んでいる。舞台は1980年の西テキサ...映画評論

フォトギャラリー

DVD・ブルーレイ

映画レビュー

平均評価
3.7 3.7 (全91件)
  • 徹底的に過剰演出を排除したことが逆にかってない緊迫感をもたらしている 一言で言えば、麻薬取引に絡む犯罪映画なのだか、凡百の作品と本作を分けるのは過剰な演出がないところだ 徹底的に過剰演出を排除したことが逆にかってない緊迫感をもたらしているのだ そこが決定的に違う ... ...続きを読む

    あき240 あき240さん  2018年11月16日 12:01  評価:5.0
    このレビューに共感した/0人
  • 雰囲気を楽しみつつ お金を持って逃げた人と殺し屋と二人を追う保安官がどうなるのかを 誰にも感情移入しないで観ると楽しめます というか、感情移入したくても無理ですけど ...続きを読む

    スノークの息子 スノークの息子さん  2018年10月12日 12:53  評価:4.5
    このレビューに共感した/0人
  • 静かなるサイコ 「ファーゴ」に似て、 無駄なBGMなどは無く、 淡々とストーリーが進み、 淡々と人が殺され、死ぬ。 決して派手ではないが、 静かに忍び寄るシガーの 怖さ、冷徹、サイコ具合は 常軌を逸している。... ...続きを読む

    ぼるとぼーい ぼるとぼーいさん  2018年5月20日 15:17  評価:3.0
    このレビューに共感した/0人
  • すべての映画レビュー
  • 映画レビューを書く
このページの先頭へ

最近チェックした履歴

映画の検索履歴

他の映画を探す

映画館の検索履歴

他の映画館を探す

最新のインタビュー

  • インタビュー コンフィデンスマンJP 挑みがいがある作品――長澤まさみ&東出昌大&小日向文世が惚れ込む「コンフィデンスマンJP」の世界
  • インタビュー チア男子!! 横浜流星が痛感した“応援”のパワー 「チア男子!!」原作・朝井リョウと語る
  • インタビュー 映画 としまえん 北原里英×小島藤子×浅川梨奈 「夜のとしまえん」で見せたハイテンションな芝居
インタビューの一覧を見る
Jobnavi
採用情報