玲玲(リンリン)の電影日記

劇場公開日:

解説

文革時代を背景に、映画を愛する家族の人生をノスタルジックな映像美で描く感動のドラマ。監督は、本作がデビュー作となるシャオ・チアン。出演は「太陽の少年」のシア・ユイ。

2004年製作/100分/中国
原題:夢影童年/Electric Shadows
配給:アルバトロス・フィルム
劇場公開日:2006年5月13日

ストーリー

北京で水の配達をしているマオ・ダービンは、仕事帰り、通りに積まれたレンガに突っ込んでしまう。起き上がろうとすると少女が突然現れ、レンガでダービンの頭を殴りつけた。病院で目覚めたダービンは少女を怒鳴りつけるが、彼女は耳が聴こえないようで、彼に自分のアパートの鍵と「お魚に餌をあげて」というメモを渡す。仕方なく少女の部屋へ行くと、映画ポスターやスチール写真が壁一面に飾られていて、ダービンは彼女も自分と同じく映画が好きなのだと知る。そしてふと見つけた日記を読み始める……。1971年。中国の田舎町、寧夏(ニンシャ)。公共放送の花形アナウンサー、シュエホアは女優を夢見て地元の劇団に参加していた。彼女は恋に落ち、身ごもるが恋人に捨てられる。野外映画館で上映中に産気づいたシュエホアは、映写技師のパン氏の助けで玲玲(リンリン)を出産する。私生児を産んだために職を失い、世間からの冷たい視線に耐えられず死を選ぼうとするシュエホアだが、そのとき見たアルバニア映画に勇気づけられ、スターへの夢を諦めて母親として生きることを決める。数年後、リンリンのクラスにシャオビンという少年が転校してきた。ふたりは親友になり、シャオビンは虐待する父親から逃げるようにリンリンの家に身を寄せ家族のように暮らし始めるが、ほどなく祖父母の家に引き取られる。別れ際、シャオビンはリンリンにどんな映画も見ることができる魔法の双眼鏡をプレゼントする。そんな時、リンリンの母はパン氏と結婚する。ふたりの間に生まれた異父弟ビンビンに母の愛情が向けられると、リンリンは弟に嫉妬し、恨むようになる。映画スターを育成する少年宮の試験に合格した時も、二人分の学費を払う余裕がなく、弟だけが入学したのだ。テレビが台頭し、映画人気が落ちていく中、パン氏の野外映画館は閉館することになった。最後の上映の日に悲劇が起こる。リンリンと貯水塔から映画を見ていた弟が、転落死してしまったのだ。パンおじさんはリンリンを殴り、彼女は聴覚を失った。……リンリンの日記にダービンは大きなショックを受ける。自分こそが、リンリンの幼少期の親友シャオビンだったのだ。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0映画1本の料金が4日分の給料。中国も高い映画料金が問題だ(70年代)

2021年8月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 物価が高いのか給料が安いのかはわからないけど、日本だと最低賃金であっても1日働いたら3本くらいは観ることができる。1970年代の文革時代にストーリーは回想されるが、田舎ではあっても無料での野外映画上映会。キャッチコピー通りの中国版『ニュー・シネマ・パラダイス』であったけれど、フィルム技師も腕白少年も登場するがあくまでも家族愛を描いた映画でした。野外ということもあって、タバコの煙はもくもくと立ち上り、空気も乾いて音が広がっていく感じが伝わってきました。このあたりも『ニュー・シネマ・パラダイス』の雰囲気でしたが、さすがに上映中にセックスするカップルはいませんでした。

 水の宅配をしている青年マオ・ダービンが映画館へ向かう途中、女性にレンガで殴られるという強烈なインパクトを持った展開で始まるのですが、彼女の過去を知るうちに、その謎を保ちながらノスタルジックな雰囲気につつまれていくのです。田舎の風景がとても大陸的で、どこまで行っても荒野が続いていそうな寂寥感の中にも暖かい家族がある。文革時代の影響なのか知らないけれども、子供たちも銃のおもちゃを常に持ち、ちょっと間違えれば殺伐とした雰囲気にもなりかねないような・・・だけど映画という娯楽のおかげで心が一つであるかのような田舎でした。

 ちょっとおかしいぞと思える設定ももファンタジーとして割り切れば気になることもありませんが、聴力を失ったリンリンはちょっと可哀想すぎます。そして義弟の優しさにも泣いて、ラストにもまた泣かせるという二段攻撃。列車のアクション映画が多かったのですが、この中国映画やアルバニア映画を知っていたらもっと楽しめただろうなぁ・・・

【2006年8月映画館にて】

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kossy

4.0玲玲の流した涙

2015年3月29日
フィーチャーフォンから投稿

悲しい

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松井の天井直撃ホームラン
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