劇場公開日 2023年9月9日

「【様々な理由により、世間から疎外された男女の恋を描いた作品。韓国映画の底力を感じると共に、若きソル・ギョングの確かな演技に魅入られた作品。真の人間の善性と悪性を見事に抉りだした作品でもある】」オアシス NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【様々な理由により、世間から疎外された男女の恋を描いた作品。韓国映画の底力を感じると共に、若きソル・ギョングの確かな演技に魅入られた作品。真の人間の善性と悪性を見事に抉りだした作品でもある】

2022年7月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■刑務所を出て家族のもとへ戻ったジョンドゥ(ソル・ギョング)は、家族たちから優しくない扱いを受ける。
 彼の罪状はひき逃げによる過失致死、及び余罪である。
 ある日、被害者家族を訪れた彼は、脳性麻痺のコンジュ(ムン・ソリ:今作の名演がありながらその後映画からは遠のく。幸せな生活を送られている事を願う。)と出会う。
 2人はやがて惹かれあい、愛を育んでいくが、周囲は彼らを理解しようとしなかった。そしてある事件が起こり…。

■個人的な意見で恐縮であるが、ソル・ギョングさんは韓国俳優さんの中でも、好きな俳優Top10に入る方である。
 マ・ドンソクの様に剛腕で魅せる訳ではないし、イ・ビョンホンの様にイケメンであらゆる役を演じる訳でもない。
 だが、私が劇場で観た「名もなき野良犬の輪舞」体脂肪を極限まで絞った「殺人者の記憶法」傑作である「1987 ある闘いの真実」「君の誕生日」により、名優だと思っている。
 今作はこの方の、若き日の作品であり、興味深く鑑賞した。

◆感想<Caution 内容に触れています。>

・幾つかの罪を追って刑務所で数年過ごし、出所したジョンドゥに対する家族の扱いは冷たい。後に明らかになる彼が親族の罪を被って、刑務所で過ごした事実を考えても、彼が家族にとって、お払い箱にしたい人物であることが分かる。
ー 彼が、軽い脳性麻痺、もしくは知的レベルの低い人物であることが分かる。劇中では、描かれないが。-

・そんな、ジョンドゥが【自らが犯した罪ではない】被害者の家庭を訪れるシーン。そこには、亡き父親の息子夫婦が引っ越しをする際中であり、一人残された軽度の脳性麻痺と思われるコンジュが居た。コンジュの兄夫婦は身体障碍者に支給される住居に住んでいるふりをして、自分達はその家を出て、一人残したコンジュの面倒を臨家の女性に託す。
ー これは、是枝監督作品にも通じる、利権だけを取る、家族の崩壊である。ー

・ジョンドゥは、コンジュの姿を見て、近寄り犯そうとするが、激しく拒否される。
ー 当たり前である。この時点はでは、ジョンドゥの悪性が全面に出ている。-

・だが、コンジュが一人残された姿を見て、ジョンドゥの中の僅かな善性が表面に出てくる。
ー 身障者の方々は、自分に近づいてくる人間の善悪を鋭く見抜くと巷間では言われているが、この辺りのシーンでは、強ち間違いではないかな、と思う。-

 ■ジョンドゥが、コンジュをカラオケに誘うシーン。彼女は上手く歌えないが、その帰り、地下鉄の駅で身体自由になったコンジュが、車椅子に座っているジョンドゥに優しく接する幻想的なシーンは忘れ難い。

<そして、コンジュが、ジョンドゥに対し”一所にベッドで寝ましょう‥”と言い、彼を誘うシーン。だが、その時にコンジュの愚かしき兄夫婦がやってきて・・。
 警察に連れていかれたジョンドゥに対する扱いに対し、一人激烈に身体を張って抗議するコンジュの姿。
 今作は、真の人間の善性と悪性を見事に抉りだした作品であると思います。>

NOBU
MAKOさんのコメント
2023年4月26日

よくコレ観ましたね。一生心に残る名作だとは思いますが二度観る気にはなれません。
けどコンジュの心想が細やかに描かれているノベライズもオススメです。
ソル・ギョングさんは「力道山」まで演じてる物凄い役者さんですね。

MAKO
CBさんのコメント
2022年7月16日

この作品、すごく、いいですよね。なんでだかうまく言えないんですけれど。

CB