劇場公開日 2003年10月18日

「『空気人形』(09)主演のペ・ドゥナさん映画デビュー作品」ほえる犬は噛まない septakaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5『空気人形』(09)主演のペ・ドゥナさん映画デビュー作品

2010年1月6日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

難しい

幸せ

と、同時に
『母なる証明』ポン・ジュノ監督も
今作が長編映画デビュー作になります。

日本アカデミー賞主演女優賞にも
ノミネートされている大好きなペ・ドゥナさん。
デビュー作は、どんなふうだったのか楽しみに待ちました。

☆彡     ☆彡

これ犬好きの人
生理的NGな人いるだろうな
この頃からポン・ジュノ監督っぽさ出てるなぁ(苦笑)

まず、冒頭の感想。
これ、他のレビュアーさんも
書かれていた気がするのですが、
犬が好きな人は、序盤早々にNGかもしれません。

かくなる私も
実家で犬を飼っているくらい、
犬好きですので、このシーンでは思わず
画面から眼をそらしてしまいました。中盤にも、同じくらいキツイ
シーンがありまして、そこも同じように画面から眼をそらしてしまいました。

作品冒頭に
犬の取り扱いについての注意書き?説明文?の
ようなものは表示されるのですが、そうだとしてもあれはきつかったです。

ここさえクリアすれば観ていられます。

ストーリーからは、
ポン・ジュノ監督っぽさを感じました。

ずばり、一筋縄ではいかない。
人物像が、ストレートではない。

人間の複雑さっていうのかな、
人生の不条理さっていうのかな、
主人公の二人に共通しているんですが
成功者ではないんです。しかも二人とも
自分が成功者ではないことに気づいていて
なんとか成功したい、幸せになりたいと、あがいているんです。

作品タイトルから、
ある程度想像はつきますが、
コメディタッチな部分もあるのですが、
全体には、とってもシリアスなんです。

コントっぽい遊び心を感じさせる
シーンもあるのですが、主人公の心情を慮ると痛々しさすら感じます。

“贖罪”

ラストは、ここに収斂。
大学の教室で見せた主人公の表情が
いまだに謎であると同時に、頭に焼きついて離れません。

◇   ◇

注目のペ・ドゥナさん。
『空気人形』のインタビューで
「フィルムを無駄にしないためにもNGは出さないようにした」

こんなコメントを残していたのですが、
特典映像を観たところ、このデビュー作で
「フィルムを大事に」とポン・ジュノ監督から教えられていたみたいです。

三つ子の魂百まで、ではありませんが
最初の作品って、とっても大切なんですね(笑顔)

☆彡     ☆彡

あと色。
黄色や赤色。
原色が目につきました。
これには触れられていませんでしたが
もしかしたら、なにかのこだわりがあったのかもしれません。

鑑賞後感としては、
考えさせられる作品ではありましたが、
考える空白が多すぎて、ちょっぴり後味が。

良い作品なんだけど、もう一歩かなぁ。
ここまでくると完全に好みの問題になっちゃうんだろうなぁ・・・。

septaka