劇場公開日 2003年10月18日

「ペ・ドゥナが好きだからー!」ほえる犬は噛まない 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ペ・ドゥナが好きだからー!

2022年9月1日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

悲しい

怖い

過去数回鑑賞

監督と脚本は『グエムル 漢江の怪物』『パラサイト 半地下の家族』のポン•ジュノ

ポンジュノ監督の長編映画初作品

犬を飼うことが禁止されている団地で犬の鳴き声が聞こえる
規則を破り犬を飼う住人がいるのだ
大学の非常勤講師はそれが許せなくて犬をこっそり盗み殺そうとしたが殺せず地下室の家具に閉じ込めてしまう
飼い主の少女から犬探しの相談をうけたペ・ドゥナ演じる団地の管理事務所職員は少女の代わりに迷い犬を探しているというポスターをあちこちに貼った
そんなある日に双眼鏡で団地を監視していると黒い小犬を屋上から落とす大学の非常勤講師を目撃してしまう
なんやかんやで非常勤講師は妻が飼い始めた犬を散歩中にはぐれてしまい管理事務所経理と共に探すハメに

犬が好きで好きでたまらない人にはおすすめできない
犬死にとかお犬様を蔑称として使うなんて許さないと日頃お怒りの人にもこの作品はおすすめできない
犬を虐待する惨いシーンが多い
犬鍋には卒倒してしまい最悪嫌韓になるかもしれない
コメディーならばと気軽に観ない方が良い

現代劇で犬食文化を扱えるのは韓国映画ならでは
邦画でも『花よりもなほ』で貧乏長屋の人々が犬鍋を食べていたけどあれ江戸時代を舞台にした時代劇だし
犬食は野蛮だから懲らしめようという考えは西洋人の感覚であり日本人が加担してはいけないしむしろそういう独善的な考えの方が野蛮

映画comによると原題は『Barking Dogs Never Bite』だがそれは間違いで韓国語を直訳すると『フランダースの犬』が本当の原題らしい
なぜそのタイトルにしたのかポン・ジュノ監督の説明でもよくわからない
監督が子供の頃に観た日本のアニメ『フランダースの犬』とこの映画の内容にどんな関連性があるのか
犬が数匹ほど登場し大学の非常勤講師がカラオケで『フランダースの犬』の主題歌を歌うのだが釈然としない
ダリほどちんぷんかんぷんではないが見た目に似合わず奥深いクリエイターだなと

2000年の作品
ペ・ドゥナの出世作
この作品でペ・ドゥナの存在を知る
当時20歳くらいの若手
初鑑賞はタイトルにも惹かれたがほぼジャッケットのペ・ドゥナの表情だけで鑑賞することを決めた
彼女に一目惚れしたのだ
ペ・ドゥナの表情を見ればコメディーかそうじゃないかわかる
他の韓国の役者とは一線を画す強烈な個性を放つ名優それがペ・ドゥナ

団地の廊下や階段で追いかけっこする赤い非常勤講師と黄色いペ・ドゥナが印象的
追いかけるペ・ドゥナが住人の開いた扉に衝突するという全員集合前半のコントでよく見た志村やいかりやみたいなシーンは好き
さらに管理事務所で鼻の穴に紙を詰めてるペ・ドゥナ大好物
非常勤講師に犬を渡すときの笑顔がとても可愛い

無闇に唾を吐くババアは印象的

ペ・ドゥナ演じるヒョンナムが慕うデブの姉貴分がよく着ているTシャツに大きくデザインされた数字の「5」も印象的
まるでストロンガー城茂TシャツのSのようだ

野川新栄