若草物語(1933)のレビュー・感想・評価

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4.0100年近い時を経ても、文化・芸術の世界の進歩は…

2022年5月26日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

DVDレンタルして、
49年版、94年版、2019年版に続いて、
ついに33年版を鑑賞することが出来た。

DVDの冒頭には懐かしい淀川長治の
解説があって、
49年版のジューン・アリソンのジョーは
この作品のキャサリン・ヘプバーンに
負けていたことと、
私には活発に見えた
アリスンのジョーだったが、
ヘプバーンに比べるとまだおとなしかった
との評があった。

さて、全体の構成について、
49年のルロイ監督版は
このキューカー版に良く似ていて、
両作品共に、
ジョーが柵を乗り越える場面があったり、
エイミーのパリでのシーンに
伯母がエイミーの結婚相手に目論んでいた
富豪は登場しなかったり、
教授がジョーの製本を持ってきての
愛の成就のラストは同じだ。

そして、話の中身は4作品の中で
一番濃密なイメージだ。

だから、4作品それぞれ細かなエピソードや
感情の因果関係を入れ換える等、
各監督の工夫が見て取れる中で、
この作品が一番、各エピソードの因果関係や
登場人物の感情を丁寧に描いていたかも
知れない。

ところで、
ジョーと結婚する教授の人柄の描写は
この作品の彼が一番自然で人間らしく
好感が持てた。

100年近い長い時を経ても
それぞれ魅力的な各「若草物語」映画作品。
文明・技術の世界は進歩するのかも
知れないが、
文化・芸術の世界はそうでもないことを
知らしめてくれる作品だ。

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