劇場公開日 1989年7月29日

「幻想的な郊外での経験。そして都会でのやりとりが面白い。」レネットとミラベル 四つの冒険 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0幻想的な郊外での経験。そして都会でのやりとりが面白い。

2020年10月14日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 4編のオムニバス作品で、1本目は、別荘で夏休みを過ごすミラベルの自転車がパンクしたことがきっかけとなって農家に住むレネットと仲良くなったエピソード。レネットは、夜と朝が交差する1分間の「青い時間」に虫の声も鳥の声も聞こえなくなる静寂をミラベルにも体験してもらいたくて部屋に泊まってもらう。昼間は自分の描いた絵をミラベルに説明したり、隣家の農業従事者から野菜の育て方・食べ方を一緒に学んだりする。「青い時間」以外は何かしら雑音が聴こえるものであり、この一瞬の出来事が彼女たちの友情を深めることになった。そして、パリで共同生活を始めるのだが・・・

 2本目「カフェの店員」、3本目「物乞い 窃盗常習犯 女詐欺師」はレネットとミラベルの正義感や金銭的な価値観についての議論となるのですが、これがまた考えが対照的だったり、信念に矛盾が見つかったりと興味深いもの。ちょっとしたコメディ要素、貧困者への救済といった現代的テーマも含まれていた。

 4本目は、金には困ってなかった感じのレネットだったが、遺産相続が上手くいってなくて家賃を滞納しそうになる。そこで好きな絵を売ることにするエピソード。画商のいい加減さや、彼女たちの作戦が功を奏した面白さが光っていた。

 日常に存するちょっとしたやりとりも、皮肉めいたものや議論することによって考えも少し変わるといった、固定観念を揺さぶられる思いにさせられた。重いテーマじゃないので、何気なく鑑賞する分には心地よい映画。

kossy