劇場公開日 1982年12月18日

「アメリカの分断は当時から始まっていたのだ」ランボー あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0アメリカの分断は当時から始まっていたのだ

2019年1月18日
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鑑賞方法:DVD/BD

某大統領の就任でアメリカは分断されたてしまったと報道される
しかし、本作を観れば35年以上前から分断されていたのだとハッキリと分かる
トラウトマン大佐は国家のあるべきを追い求める立場
保安官は、町の平安という自己の職責の理想を追求する立場
どちらも大切なことだ
しかし、主人公はその二つの間に落ちて行き場を失ってしまった犠牲者なのだ
保安官に追い詰められて、向かいあった断崖から
飛び降りるシーンはその象徴として意図して撮影されたものかも知れない

アメリカはその後も湾岸戦争、イラク戦争、テロ戦争と戦争を絶えず戦ってきた
そこでランボーの誕生はまた繰り返され、拡大したはずだ

そして今
その分断の戦線は遠い外地ではなく、アメリカ本土において分断の戦いは、全国民を巻き込んで行われてしまっている

ランボーだらけの国にアメリカはなってしまったのだ

某大統領が悪いのではない
どぶ掃除は誰かがしなければならないのだ
本当の分断が起こった理由とは、相反する価値観が互いに相容れない不許容な社会がランボーの時代から蔓延した、その成れの果てなのだ
それは保安官の姿と言えるし、両手を縛ったような戦いをベトナムで兵士に強いたトラウトマン大佐の姿でもある

そしてまた21世紀の日本はどうか
ランボーが出現しかねない分断の様相を示しているのではないか

本作は単なる爆裂痛快アクション映画ではないのだ

あき240