ライトシップ

劇場公開日:

解説

灯台船に乗り込んできた3人のならず者と、船員の闘いを描く。ヴェネチア映画祭審査員特別賞を受賞。製作はビル・ベネンソン、モリッツ・ボーマン。エグゼクティヴ・プロデューサーはライナー・ショーンライン。監督は「早春」(70)のイエジー・スコリモフスキー。ドイツの作家ジーグフリート・レンツの小説を基に、舞台を北海から米ノーフォークに移してウィリアム・マイ、デイヴィッド・テイラーが脚色。撮影は「早春」のチャーリー・スタインバーガー、音楽はスタンリー・マイヤーズが担当。出演はクラウス・マリア・ブランダウアー、ロバート・デュヴァル(ヴェネチア映画祭主演男優賞を受賞)ほか。

1985年製作/アメリカ
原題:The Lightship
配給:東映クラシックフィルム
劇場公開日:1985年12月14日

ストーリー

戦争が終って10年、沿岸警備隊の灯台船ハッタラス号のミラー船長(クラウス・マリア・ブランダウアー)は、非行少年として補導された息子のアレックス(マイケル・リンドン)をもらい下げて、船に乗せた。アレックスは父に心を開こうとはしなかった。やがて、エンジン故障で漂流しているボートが発見され、乗っていた3人が救出された。きざな紳士風の男はキャスパリー(ロバート・デュヴァル)と名乗り、2人の仲間、ユージーン(ウィリアム・フォーサイス)とエディ(アリス・ハワード)の兄弟を紹介した。彼らの発言や、ボートに隠してあったライフルの存在から、彼らがまともな人間ではないことがしだいにわかってくる。キャスパリーは、銃をつき付け、船を制圧した。彼らは銀行ギャングだったのだ。航海士のソーン(ティム・フィリップス)らは反抗しようとするが、船長は無暴なことをするなととめる。アレックスはそんな彼の態度がはがゆい。ミラーはドイツ生まれで戦時中、米軍駆遂艦の艦長をしていた時、多数の人の生命を見捨てたとみられていて、アレックスはそれを気にしていた。ミラーはそれは軍の命令で仕方なかったと話す。船員の1人スタンプ(ロバート・コスタンゾ)がキャスパリーを襲うが、エディに射殺される。キャスパリーは船を動かすように命じるが、ミラーは断固拒否。黒人の料理人ネイト(バジャ・ジョラー)がユージーンを甲板におびき出して、甲板からつきおとした。キャスパリーは船の錨をあげるよう命じ、船長は拒み、キャスパリーにつめ寄る。キャスパリーの銃が火を吹き、船長は倒れた。アレックスはキャスパリーをナイフで刺した。茫然と立ちつくす船員、エディ、アレックス。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

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映画レビュー

3.5錨(怒り)を鎮めて、使命を守って

2014年7月20日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

知的

警察に補導された息子を乗せ、沖合に停泊するミラー船長が指揮する灯台船(ライトシップ)。海上をボートで漂う3人組の男を助けるが、凶悪犯の彼らに船を乗っ取られてしまう…。

ポーランドの名匠イエジー・スコリモフスキの1985年の初米作品。ヴェネツィア映画祭審査員特別賞。

“ジャック物”ではあるが、アクションではない。
極限状態の人間模様をスリリングに描いたサスペンス・ドラマ。

凶悪犯たちは船で逃走しようとするが、夜間の移動は禁止されている。
それを固執して守る船長と紳士的な凶悪犯のリーダーの、一見穏やかそうに見えるが火花散る話し合い。
今にも衝突しそうな凶悪犯手下二人と船員たち。
反撃の行動をしようとしない船長への船員たちの不満。
船内の銃を隠し持つ反抗期の船長の息子。
「キャプテン・フィリップス」のような、ヒリヒリする緊迫感がみなぎる。

ツッコミ所もある。
船員たちは拘束されず、通常業務を行い、船内を自由に歩き回る。
が、これがかえって緊迫感を煽ったりする。
船員たちと凶悪犯手下二人は何度かいざこざがあり、船内でばったり出くわした時、いつ何処で睨み合いが爆発するか分からない。

凶悪犯のリーダー、キャスパリに扮したロバート・デュヴァルがさすがの巧演。紳士的ではありながら、血の気が濃い手下二人が従順する辺り、恐ろしさを感じさせる。
船長ミラーに扮するクラウス・マリア・ブランダウアー。行動を起こさない理由である海軍時代の過去を息子に語るシーンは引き込まれる。

息子役の少年もナイーブな感じで好助演。
映画は息子のモノローグで語られ、重要ポジションでもある。

派手な映画ではない。
しかし、使命を守る船長の視点、息子の語りの視点など別角度から見ると、また違った味わいがある。

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近大
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