夜の第三部分

劇場公開日:

解説

「ポゼッション」「私生活のない女」「狂気の愛」「私の夜はあなたの昼より美しい」など、官能・狂気・不条理の世界を描きつづける映画作家、アンジェイ・ズラウスキ(ズラウスキー)の処女作。作家であり脚本家であった彼の父ミロスラフの自伝的な小説を父子で共同脚色。第二次大戦下のポーランドを舞台に、1人の男が辿る数奇な運命を通して、故国が置かれてきた不条理な現実に迫った1作。公開当時ポーランドで大ヒットを記録、72年アンジェイ・ムンク賞(最優秀新人監督賞)、73年コシャーリン映画祭グランプリを獲得した。続いて製作した『悪魔』(V)が暴力性と残虐性を理由に公開禁止処分となり、『シルバー・グローブ/銀の惑星』(V)が政治の介入で製作中止に追い込まれたため(10年後に完成)、ズラウスキがフランスに活動の拠点を移したことから、長らく幻の作品とされてきた。撮影はヴィトルド・ソボチンスキ、音楽はアンジェイ・コジンスキ、美術はテレサ・バルスカとイェジー・シニェザフシキ。出演はマウゴジャータ・ブラウネック、レシェック・テレシンスキほか。

1972年製作/ポーランド
原題:Trzecia Czeso Necy
配給:ヤコ
劇場公開日:1995年1月6日

ストーリー

第二次大戦下のポーランド。人里離れた森の中の屋敷に、ミハウ(レシェック・テレシンスキ)が妻(マウゴジャータ・ブラウネック)と幼い息子と住んでいる。妻との仲は良くない。春のある日、ミハウの留守中にナチスの騎兵の一隊の襲撃を受け、家族は殺されてしまう。彼は街へ戻り、抵抗運動に参加する。作戦中に身元が発覚し、ミハウは逃走する。安アパートの階段に逃げ込むと、彼と同じ服を来た男が入れ違いに外に出ていった。追手はその男を彼と間違って逮捕する。男の妻マルタ(マウゴジャータ・ブラウネック二役)が部屋を飛び出して助けようとするが、妊娠していたためナチスの兵士は彼女を見逃す。マルタは驚くほど、ミハウの妻に似ていた。マルタは産気づき、ミハウの手伝いで無事出産する。彼はケガと疲労で気を失い、目が覚めるとマルタと赤ん坊が消えている。やっとの思いで二人をある養老院で見つけるが、そこは自分の家であった。彼は自分が以前あった場面をもう一度体験していること、死んだ妻との生活が再びマルタとともに繰り返されていることを知る。過去に対して悔恨の情にかられたミハウは、マルタと赤ん坊の世話をする。生活費を稼ぐために彼は、ナチスの生態実験を受ける職につく。それは、付着させたシラミに体の血を吸わせるというものだった。ミハウは妻と息子に与えられなかった全てを二人に捧げようとする。ミハウとマルタは愛し合うが、ミハウは彼女の元の夫をも助けようとする。彼女の夫のいる病院に忍び込んだミハウは発見され、病院の中を逃げ回ると死体安置所に入り込んだ。そこで彼は、自分自身の死体を発見した。気がつくと彼は、再びあの安アパートにいた。

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スタッフ・キャスト

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(C)Third Part Of The Night, dir. Andrzej Zulawski, 1972, license KADR Film Studio

映画レビュー

4.0"天使のラッパ"

2020年5月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

興奮

知的

過去と現在が複雑に絡み合っているように一つの現実になり、幻覚とチフスとケジラミ!?

オカルト要素とノワール風味の世界観が不気味に、事が起きるテンポも良く頭の中が難解になりながらもハマる演出描写。

不必要に出産する女の苦悶な表情を長回しする変態性、ラストは語りながらイカしたロックンロールが流れ気持ち悪いケジラミのエンドロール。

恐るベシ!アンジェイ・ズラウスキー、変態的な天才を知るのが遅過ぎた自分。

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万年 東一