世にも憂鬱なハムレットたち

劇場公開日:

解説

『ハムレット』公演のため奮闘する三文役者たちの姿を暖かく見つめたハートフル・コメディ。監督・脚本は英国劇壇の才子で、「から騒ぎ」「フランケンシュタイン」など映画界でも成功を収めたケネス・ブラナー。製作は「フランケンシュタイン」のディヴィッド・バロン。主題歌は英国劇壇の重鎮、故ノエル・カワードの“Why Must the Show Go On?”。出演者は「オセロ」のマイケル・マロニーはじめ、ブラナーの同門の友人たちで固められた。ほかにテレビ・シリーズ『ダイナスティ』などで有名なベテラン女優ジョーン・コリンズが顔を見せる。

1996年製作/100分/イギリス
原題:In the Bleak Midwinter
配給:東宝東和
劇場公開日:1996年11月30日

ストーリー

11月末。売れない俳優のジョー・ハーパー(マイケル・マロニー)は1年も仕事がない。彼は役者生命を賭けて、クリスマスに郷里の古い教会で『ハムレット』を上演しようと思い立つ。エージェントのマージ(ジョーン・コリンズ)の反対を押し切り、オーディションを開き、自分と似た境遇の三文俳優を集めて、いざ出陣。教会には妹のモリー(ヘッタ・チャーンレイ)と美術兼衣裳担当のファッジ(セリア・イムリー)が待っていた。今回の公演の名目は、この朽ちかけた教会をアート・シアターにして開発業者の手から守ることだ。役者たちは教会のオンボロぶりと粗末な食事に閉口しながも、そこに泊まり込んで共同生活をはじめる。主役のハムレット兼監督のジョー以下、ヒロインのオフィーリアにはド近眼の癖に眼鏡もコンタクトも拒否するニーナ(ジュリア・ソワルハ)、ホレーシオほか数役を演じるはマザコンでアル中だが気は優しいカーンフォース(ジェラード・ホーラン)、王妃ガートルードには何と陽気なゲイのテリー(ジョン・セッションズ)、クローディアス王には“クソじじい”を自称する偏屈な老俳優ヘンリー(リチャード・ブライアーズ)、ポローニアスには14年もピーターパンを演じて飽きた永遠の子役ヴァーノン(マーク・ハッドフィールド)、レアティーズほか数役は完璧主義者だが神経質すぎるトム(ニック・ファレル)と、いずれ劣らぬ変人集団。ささいなことでも稽古の進行はストップ。前途は多難だった。資金繰りもうまくいかず、大家から立ち退きまで要求されたジョーに気が休まる時はない。最初の通し稽古の途中、ジョーはついに爆発、「芝居は中止だ。こんなことを続けるなんて無意味だ」と絶叫。だがそんな思いは皆同じ。役者たちの励ましもあって、ようやく満足いく稽古が終わり、資金問題も全員の協力で乗り切った。ようやく連帯意識も芽生えた公演初日。ところがここで大事件。何とジョーがハリウッドの3部作のSF映画の主演に起用されたのだ。芝居を捨て、行くか行かざるべきか。放心状態のジョーに役者たちは「チャンスは逃すな。行け」と勧めるが、ニーナだけは泣いてジョーを非難。ハムレットは急遽モリーが代役し、ジョーを起用した女プロデューサーのナンシー(ジェニファー・ソンダーズ)とマージが見守る中、ついに幕が開ける。初舞台のモリーは緊張で言葉が出ない。そこに何とジョーが客席の後ろから登場。彼は結局芝居を選んだのだ。舞台は大喝采のうちに無事終了。驚いたことにナンシーは映画の主演にトムを見初め、美術にファッジを起用した。テリーは17歳の時一度だけの過ちでもうけた息子と再会、カーンフォースは母から祝福され、ニーナは女優を反対していた父にようやく認められ、ジョーに愛を告白_役者たちはそれぞれ喜びを分かち合うのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第52回 ベネチア国際映画祭(1995年)

受賞

金のオゼッラ賞(最優秀監督賞) ケネス・ブラナー
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