屋根の上のバイオリン弾き

劇場公開日:

屋根の上のバイオリン弾き

解説

ブロードウェイの公演でロングラン記録を樹立したミュージカルの映画化。政情不安の嵐の中でも、娘たちは恋をし、各自が新しい人生に踏み出す。家長は貧しくも誇り高く、妻を愛し、娘たちを愛し、家を守る。製作・監督は「夜の大捜査線」のノーマン・ジュイソン、イーディッシュ文字の巨匠ショラム・アレイハムのベスト・セラー小説をジョセフ・スタインが脚色、撮影は「オリバー!」のオズワルド・モリス、美術はマイケル・ストリンジャー、音楽監督はジョン・ウィリアムズ、作曲はジェリー・ボック、作詞はシェルドン・ハーニック、管弦楽編曲はアレグザンダーコウレージ、音楽編集はリチャード・カラス、バイオリン演奏はアイザック・スターン、振付は「ウエスト・サイド物語」でアカデミー賞監督賞、振付により同賞の特別賞を受賞したジェローム・ロビンス、ロバート・ローレンスがそれぞれ担当。出演は、イスラエルの舞台とロンドン王立劇場でテビエ役を演じたトポル、「続・夜の大捜査線」のノーマ・クレイン、モリー・ピコン、レナード・フレイ、ロザリンド・ハリス、マイケル・グレイザー、ミシェル・マーシュ、ニーバ・スモール、レイモンド・ラヴロックなど。

1971年製作/182分/アメリカ
原題:Fiddler on the Roof
配給:ユナイト
劇場公開日:1971年12月4日

ストーリー

アナテフカの牛乳屋テビエ(トポル)は貧しくも信仰深く、少々口やかましい妻ゴールデ(ノーマ・クレイン)、愛らしい5人の娘、ツァイテル(ロザリンド・ハリス)、ホーデル(ミシェル・マーシュ)、ハーバ(ニーバ・スモール)、シュプリンシェ(エレイン・エドワーズ)、ビルケ(キャンディス・ボンスタイン)の家族と暖かい家庭を築いていた。アナテフカはウクライナ地方の貧しい小村で、市場、肉屋、かじ屋、仕立屋、宿屋などが雑然と立ち並び、屋根の上にはバイオリ弾きが、危なげなバランスを保って楽しい曲を弾いている。このバイオリン弾きが象徴するように、村もテビエも激しい現実から伝統を守って必死に生きているのだ(Tradition=伝統の歌)。村じゅうが安息日の準備に忙しいある日、イェンテ婆さん(モリー・ピコン)が肉屋のラザール(ポール・マン)と長女ツァイテルの結婚話をもってきた。ゴールデは喜んだが、ツァイテルには仕立屋のモーテル(レナード・フレイ)という恋人がいた。ツァイテルはイェンテ婆さんの話をたくみにそらした(Matchmaker Matchmaker=仲人の歌)。テビエは仕事の帰り道、ふと金持だったらとも思った(If I Were a Rich Man= もし金持なら)。途中、キエフから来た貧しい、革命を夢見る学生パーチック(マイケル・グレイザー)と意気投合し、テビエはパーチックを招いて、家族に紹介し、安息日の祈りを捧げた(Sabbath Prayer= 安息日の祈り)。次の日、テビエは仕方なく、肉屋のラザールとツァイテルとの結婚を許すのだった。村の人たちは祝福し、ユダヤ人もロシア人も一緒になって乾杯した(To Life=人生に乾杯)。しかし翌日、思いあまったツァイテルは、テビエにモーテルとの恋を打ち明け、結局テビエはモーテルとの結婚を許してやるのだった(Miracle of Miracle= 奇蹟の中の奇蹟)。反対していたゴールデも、ようやくモーテルとの結婚を認めた(The Tailor Motel Kamzoik= 仕立て屋モーテル・カムゾイル)。やがて厳粛な結婚式がとり行われ、出席者は明日に希望を託す歌を合唱するのだった(Sunries Sunset=陽は昇り、陽は沈む)。しかしその楽しい結婚式も、突然入り込んできた警官隊にメチャメチャにされてしまった。三女のハーバはロシアの若者フヨードカ(レイモンド・ラヴロック)と恋に落ち、パーチックはホーデルに結婚を申し込んだ。怒るゴールデにテビエはホールデの気持を説明し、たしなめるのだった(Do You Love Me= 愛しているかい)。間もなく学生闘士パーチックは逮捕され、ホールデはパーチックを追ってシベリアに旅発った(Far From the Home I Love= 愛するわが家を離れて)。三女のハーバもフヨードカのもとへ走った。政情は悪化する一方で、ついにユダヤ人の強制退去命令が下った。村人たちは次々と村を離れていった(Anatevka= アナテフカ)。家財道具を積み込み、静かに村を離れていこうとするテビエに、バイオリン弾きがもの悲しい曲を奏でて後にしたがうのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第44回 アカデミー賞(1972年)

受賞

撮影賞 オズワルド・モリス
編曲・歌曲賞 ジョン・ウィリアムズ
音響賞  

ノミネート

作品賞  
監督賞 ノーマン・ジュイソン
男優賞 トポル
助演男優賞 レナード・フレイ
美術賞  

第29回 ゴールデングローブ賞(1972年)

受賞

最優秀作品賞(コメディ/ミュージカル)  
最優秀主演男優賞(コメディ/ミュージカル) トポル

ノミネート

最優秀助演男優賞 ポール・マン
最優秀監督賞 ノーマン・ジュイソン
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写真提供:アマナイメージズ

映画レビュー

5.0ミュージカルの金字塔⭐️

2020年6月4日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

楽しい

興奮

再映画化のニュースを知り、又見たくなって引っ張り出してきました。
この映画よく出来ているんですよね。
舞台も50周年ということで再演されていたようで、
その流れで映画化の話が出たんでしょう。

生真面目に伝統を重んじてきた父親が次々と娘たちの結婚話に振り回される。
特に親世代の支持を集めたようで、sunrise,sunset ヒットしましたね。
若かったので💦もっぱら tradition とか to life とかがお気に入りでしたが。
曲も素晴らしかったし、配役も脇に至るまでピッタリのイメージで、
本当に完成度が高かったので、再映画化と聞いても?となります。
確かにテンポがゆっくりに感じたり、シーンによっては座りが悪いところもあるし、
そして曲が沢山あるせいか、3時間というのは長すぎかな、とか。
もしリメイクされるのなら変えようはありそうですね。

「サウンド・オブ・ミュージック」がリメイクされないのと同様、
この映画のリメイクは不安もありつつ、楽しみでもあります。

小ネタですが、映画化の時、長女役の俳優にバーブラ・ストライサンドが
候補に上がっていたそうです。
そう言われてみればツァイテル役の俳優、ストライサンドに似てますね?
映像的にはものすごく地味な色調で、内容もちょっと難しいのに
よくこんなにヒットしたと思いますが、いい作品でした。

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Bird

4.0私達は何故、平和と悲劇を繰り返すのか

2017年10月15日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

知的

衣食住がなくては、お金がなくては、仕事がなくては、生きられない。その前に思想家となり思想を信じなければならない。私達は紛れもなく資本主義、自由主義、平和主義の権化で、否定するならこの国で現代という時代を生きてはいない。そして、思想は現代の悲劇の原因である。陽は昇り、沈み、繰り返す。それは自然ではなく今や悲劇と平和の比喩に思える。

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ひろち

3.5ユダヤ人の受難が描かれている

2017年7月23日
PCから投稿

ミュージカル調。
前半は退屈だった。

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もりり

5.0原作者はウクライナ出身 話の舞台はウクライナの架空の村アナテフカ

2015年8月14日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館

泣ける

知的

幸せ

昔々、塾をさぼって入った映画館でやってたのがこの映画でした。「サンライズ サンセット」がこのミュージカルの音楽と初めて知り、ロシア系ユダヤの人達の話なんだとわかりました。あまりに感動したのでビデオを親に買ってもらって何回も見ました。有名なミュージカルであることもわかり、森繁久弥がテビエを演じる舞台(帝劇?)に母や妹と何度も見に行きました。テビエを演じる役者さんは世代交代していきます。全部は見てませんが倍賞千恵子さん演じる次女役は絶品で彼女の歌声は今でも心に残っています。

私にとって、舞台にひけをとらずなおかつ映画ならではの良さが生きている一番のミュージカル映画がこれです!映画館に途中入場(昔はまるでOKだった)した時は"Tradition"の場面で、映像と音楽の迫力に畏敬の念と怖さを覚えました。3人の娘が上から順にそれぞれ父親に結婚の許可(だんだんと意思表示、報告となっていくところが面白い)を願うとき、テビエが自問自答する場面、これも映画ならではでした。テビエが前面で独り言。娘と彼氏は遠景で停止状態。テビエが妻に語りかける場面の歌詞も映画だからこそ今でもメロディー付きで覚えています。"Do you love me?" --- "Do I love him?" 妻も自問自答しています。

自問自答のシーンの重要さが映画では際立っています。テビエだけでなく、ユダヤの文化や伝統の中の変革と世代交代が自問自答されていることが示唆されているからです。これがこの映画の素晴らしい、多分、当時の新しさだったんだと思います。

長女の結婚式の場面、家の入り口へのキス挨拶、ユダヤの踊り、ロシアから強制退去を命令され家を出る直前でも家の掃除をする妻など印象深いシーンと美しい音楽と歌が沢山、シャガールの絵も思い出してしまうし、本当に素晴らしい映画です。

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共感した! 5件)
talisman
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