悶え(1959)

解説

ノーベル賞作家ウィリアム・フォークナーの「響きと怒り」を、「黒い蘭」のマーティン・リット監督が映画化した作品。アメリカ南部の旧家を舞台とする人間葛藤のドラマが描かれる。脚色はアーヴィング・ラヴェッチとハリエット・フランク・ジュニアが共同してあたり、撮影は「黒船」のチャールズ・G・クラークとモーリス・ランスフォードが担当している。音楽はアレックス・ノース。主題歌をサミー・カーンが作詞している。出演するのは「大海賊」のユル・ブリンナー、未輸入作品「イヴの3つの顔」でアカデミー主演賞を得ているジョアン・ウッドワード、「善人は若死する」のマーガレット・レイトン、「フォート・ブロックの決斗」のスチュアート・ホイットマン、フランソワーズ・ロゼエ、エセル・ウォータース、ジャック・ウォーデン、ジョン・ビールら。製作ジェリー・ウォルド。

1959年製作/アメリカ
原題:The Sound and the Fury

ストーリー

アメリカ南部、シェファーソンの町の郊外ーそこにコンプソン家の荒れはてた邸がある。主人はすでに故人。今のコンプソン夫人(フランソワーズ・ロゼエ)は後妻で、連れ子のジェイソン(ユル・ブリンナー)がいた。コンプソンと先妻との間に長女キャディ(マーガレット・レイトン)、長男ハワード、次男ベンがいる。ハワードはアル中で、ベンは知的障害者。キャディは父なし娘クェンティン(ジョアン・ウッドワード)を生んで家出したきり行方がわからない。一家を支えているのは、町の雑貨屋に勤めているジェイソンで、コンプソンの遺志で彼が後継ぎになっていた。ほかに一家には黒人の老女中ディルシーと孫のラスターとT・Pがいる。ある日の夜明けークェンティンが夜通し家を明けたあと邸に戻って来た。ジェイソンは彼女が学校をさぼり、派手な身なりをしているのを叱った。17歳になったクェンティンは、彼女を始終監視し、何かと彼女を束縛するジェイソンを憎んでいた。彼女は生みの母を慕い、愛情に飢えていた。その悶えがジェイソンへの反抗となった。クェンティンは町でカーニバルのためにやって来た、サーカスの男チャーリー(スチュアート・ホイットマン)と知合った。その日の午後、キャディが町に帰って来た。彼女はジェイソンに娘と会わせてくれと頼んだ。彼はクェンティンとキャディを一目だけ会わせた。クェンティンは母親だと直感的に感じた。翌日、キャディはジェイソンに邸に戻りたいといった。ジェイソンは長い間、ふしだらな生活をしてきたキャディを家に入れるのに反対だったが、クェンティンのことを思って許した。クェンティンは母に、ジェイソンが冷酷な男だと訴えた。ある日、クェンティンとジェイソンが知人の家に招かれた帰り、2人は珍しく語りあい、彼女は彼も人間的な感情を持っていることを知った。ある晩、ジェイソンは庭でクェンティンとチャーリーが逢びきしているのをみつけた。それ以来彼は彼女を2階の部屋に閉じこめた。ある夜、クェンティンは家を抜け出し、チャーリーに会って駈け落ちしようといった。ジェイソンがベンを精神病院に連れていった。その留守中、クェンティンはジェイソンの部屋から3千ドル盗んでチャーリーのもとへ走った。しかし、ジェイソンにみつかった。彼はチャーリーに女か金のどちらかを選べといった。チャーリーは金を選んだ。邸へ戻ったクェンティンは精神的にすっかり大人になっていた。彼女は真の愛情を知った。ジェイソンは彼女の持ち出した3千ドルの金が、長年キャディからの送金を貯めたものだと告白した。彼はせめてクェンティンだけでも立派に独立させたいと望んでいたのだった。

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