ミルドレッド

劇場公開日:

解説

母親役から抜けきれない中年女性が、自分自身の人生を見つけるまでを暖かく見つめるヒューマン・ドラマ。監督は米インディペンデント映画の旗手、故ジョン・カサヴェテスの長男ニック・カサヴェテス。「ミセス・パーカー ジャズエイジの華」などの俳優だった彼の初監督作で、フランスで父の作品を配給している俳優ジェラール・ドパルデューの協力で実現した(出演も)。製作はルネ・クレイトマン。脚本はカサヴェテスとヘレン・コールドウェル。撮影は「あなたが寝てる間に…」のフェドン・パパマイケル・ジュニア。音楽はスティーヴン・ハフステター。美術は「フェイシズ」「ラスト・ショー2」のフェドン・パパマイケル・シニア。編集はイングマール・ベルイマン後期の作品『蛇の卵』『操り人形の人生から』(未公開)を手掛けるペトラ・フォン・オールフェン。主演はニックの実母の女優ジーナ・ローランズ。出演は「オンリー・ユー」のマリサ・トメイ、本作がデビューの子役ジェイク・ロイド、「リトル・オデッサ」のモイラ・ケリーほか。

1996年製作/106分/アメリカ・フランス合作
原題:Unhook the Stars
配給:シネセゾン配給(シネセゾン=東北新社提供)
劇場公開日:1997年2月1日

ストーリー

未亡人のミルドレッド(ジーナ・ローランズ)は娘のアン・マリー・マーガレット(モイラ・ケリー)をいつまでも子供扱い。アンは苛立って家出した。その矢先。向かいに住むモニカ(マリサ・トメイ)は夫フランキー(デイヴィッド・ソーントン)を追い出した。モニカはミルドレッドに昼間のあいだ息子のJJ(ジェイク・ロイド)を預かって欲しいと頼む。JJを実の息子のように可愛がり、毎日預かるミルドレッド。感謝祭に息子のイーサン(デイヴィッド・シェリル)夫婦が来たときも、JJは家族同然だ。イーサンはサンフランシスコに栄転になったことを告げた。モニカはミルドレットに真の友情を感じ、躊躇する彼女を夜のバーに連れだす。久々に酒を飲んだ彼女はトラック運転手のビッグ・トミー(ジェラール・ドパルデュー)とひかれあった。サンフランシスコを訪ねたミルドレッドに、イーサンは一緒に住んで子供の面倒も見てほしいという。嬉しい話だが彼女は躊躇した。家に戻ると、モニカが夫とよりをもどすことに決めたと言う。JJも家に戻り、独り取り残された気持ちのミルドレッドは、やがて毎晩のようにバーに通うようになる。ある晩、家に戻った彼女を娘が待っていた。家に戻りたいという娘に、彼女はこの家は売ってしまったという。自分には娘とは別の自分の人生があると。引っ越しの日、JJとモニカが別れを告げに来る。空港まで送ってくれた娘に行く先さえ告げず、ミルドレッドは立ち去った。

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映画レビュー

4.5ミルドレッドの大きな優しさに包まれたい

2023年10月24日
iPhoneアプリから投稿

オススメともあってこの「ミルドレッド」を鑑賞したく、DVDを購入したが、なかなか観れずやっと鑑賞できた。新品はなく中古で購入したと思う。

私がジーナ・ローランズさんを初めて知ったのは、「きみに読む物語」での認知症を患った老女だった。今作で初めて若い(と言っても中年かな?)ジーナ・ローランズさんを見たのに、何故かとても懐かしい感じ。この感じがとても好きなのだ。

ミルドレッドが文句を言いながら新聞を配達するところから話は始まる。
なんでそんなに文句言いながらやってるんだろうと思ったら、思春期かと思われたグータラ娘はなんと23歳で、仕事の新聞配達もまともにこなさないので、代わりに母親のミルドレッドが配っていたのだ。笑

過保護に育て過ぎたかのように見えたが、ここにミルドレッドの節度ある子育てがうかがえた。母親として、子供達が世に出ても困らないように、きちんとした知識を養おうと。きっとそのためには自分の事など後回しにして、子供達に注いできたのだろう。
子供にとっては鬱陶しく感じたのか娘はミルドレッドに反抗して家を出ていってしまう。

そんな生真面目なミルドレッドが、ご近所さんでシングルマザーになったモニカの子供を毎日預かることになり、その子供JJと、そしていつしかモニカとも心を通わせ合って行く。そして夫を亡くしてから初めて意識する男性Big Tommyにも出会う。

それまでは学校にもあまり行けてなかったJJが節度あるミルドレッドから学習し成長していく様、
母親として未熟なモニカがミルドレッドに助けられながら成長していく姿も、ミルドレッドの皆を包むような大きな愛情があってこそなのだ。そしてミルドレッド自身もJJ、モニカ、Big Tommyに触れることで自分を見出していく。

長い間生真面目で堅実な良妻賢母であったミルドレッドが、自分で自分の生き方を決断したのには、清々しく素晴らしく思った。

何よりもこのミルドレッド、すごくユーモアに溢れてて、温かく、皆を応援したくなるような素晴らしい作品だった。

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Qoo

4.0マリサ・トメイ

2020年12月19日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 23歳の娘なのに不登校で新聞配達をしない・・・わがままな娘が出ていってしまった。監督のニック・カサヴェテスはジーナ・ローランズの実の息子だ。監督として自分を見つめるかのような映画。

 隣人の息子JJを預かることにしたミルドレッドは小学校への送り迎えをしたり、彼に色んな知識を教える。感謝祭の七面鳥・・・インディアンとピルグリムが仲良く食べたことに由来等々。息子夫婦もやってきてモニカ(トメイ)とJJも楽しそう。

 マリサ・トメイが面白い。出て行った亭主の腹いせに男とデートするはずだったのに、すっぽかす電話がかかってきて、汚い言葉を連発。しかもタバコの煙を鼻から出すなど、美人が台無しだ(笑)。

 トラック運転手のビッグトミー(ドパルデュー)と知り合って仲良くなるミルドレッド。恋の行方はそれほど期待できなかった。暴力亭主も戻ってきたモニカ夫妻も再生。そのうち息子夫婦が引越し、母と一緒い暮らしたいという。そして娘アニーも仕事を見つけ家に戻ってくるが、家を売ったあとだった。行き先も告げず、娘と別れるミルドレッド・・・

 新たなる旅立ち。子離れ、親離れ。アメリカの家族らしい結末だが、再生、希望といった人生を前向きに考える内容が爽やか。後半になって笑える部分が少なくなったけど、マリサ・トメイのハジケぶりは『いとこのビニー』に次いで楽しめる。

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kossy
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