劇場公開日 1997年11月15日

「細かいところがよく分からないが」フェイク KIDOLOHさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5細かいところがよく分からないが

2022年7月12日
PCから投稿

そういうところはまぁいいだろうと思える人にとって、これは傑作だ。
スロースタートの映画で真ん中すぎ辺りまでそこそこ退屈だった。一つ一つのエピソードが面白くなく順番に説明していますという感じだった。でも全体構造がしっかりしていて最後はじーんときた。パチーノのくたびれた親父ぶりがぴったりはまっていた。本当に幅の広い役がこなせる名優だと思う。きっとアルパチーノじゃなかったらこんなにいい映画にならなかったに違いない。
ストーリーのメインになるアルパチーノとジョニーデップの死と隣合わせの恐ろしい世界・・と、平和で安全な世界が共存していて一人の人間が両方との世界を生きているという恐怖感が実に上手く描けていた。そしてアルパチーノたちとのドラマと家庭のドラマが両方ともきちっと描けていて脚本家としての姿勢の正しさを感じた。
細かい所に説明不足や多分大きな矛盾がある。例えば裏切りのエピソードが出てくるのだが、誰が何のために何の利益があって裏切ったのか?どうして船を手配する必要があるのか、どうしてそんな船持ってるようなお金持ちだとごまかすことができたのか?さっぱり分からない。それをきちっと描いたり説明したりしていると全体が崩れてダメになってしまうところを俳優の名演と演出の妙で乗り切っていた。
それとラストの音楽。
これだという派手なクライマックスもない。しかし「いやー映画って本当に素晴らしいものですね」ってのを感じさせてくれる素晴らしい映画だった。

タンバラライ